2019年09月24日04時31分掲載
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ジム・ロジャーズ著「お金の流れで読む 日本と世界の未来」
ジョージ・ソロスとクオンタム・ファンドを率いていた伝説の投資家、ジム・ロジャーズ氏が最近書いたのが「お金の流れで読む 日本と世界の未来」(PHP新書)だ。本書の中で、ロジャーズ氏は未来予測をしている。将来の有望な投資先は朝鮮半島だ、と。これは南北が統一されることを視野に入れたものだが、特に北朝鮮経済が解放された場合に投資の機会を狙っている人が世界にかなり存在する、ということだ。本書の最大の主張は韓国と北朝鮮の経済の持つ将来性とインパクトだろう。一方、日本はアベノミクスの失敗があり、未来は極めて暗い。自民党は短期的な外国人労働者を入れても、移民は排除している。このことをロジャーズ氏は日本に未来がない大きな理由に考えている。高齢化が進む一方で、新しい挑戦もないまま沈没する可能性があるが、韓国は挑戦する精神が日本よりあると指摘しているのだ。
そして、中国については不良債権の問題を指摘しながらも、なお中国には広大な未来があるし、世界の覇者になると見越している。ロジャーズ氏に筆者は2005年にインタビューしたことがあった。ニューヨークの自宅に招いていただいたのだが、そこでは中国人の年配の女性2人が雇われていた。まだ幼い娘に中国語を教えるためだと言う。つまり、もう少なくとも14年間にわたってロジャーズ氏は中国の発展に賭けてきたということである。本書でもロジャーズ氏の基本姿勢が変わっていないことに驚く。というのは世界を見ると節を曲げる人が大半だからだ。もちろん、投資は信念とか哲学ではない。投資は先をどう予測するかだ。それはみんなで渡れば怖くない、というモードとは無縁の考え方である。ロジャーズ氏は本書で、ロシアの農業が素晴らしいとか、ロシアの肥料産業は有望だとか、リサーチの重要性とか、書いている。やはり、ジム・ロジャーズ氏は興味深いエコノミストだと改めて思った。常識なんてぶっ飛ばせ、これに尽きる。
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