2019年09月26日23時58分掲載
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国際
シラク大統領死去 風刺漫画家Cabuに先立たれ
フランスのジャック・シラク大統領が亡くなった。86歳だった。政界を引退してすでに時間がたってしまったが、相撲好きで知られ、日本人の中には好感を抱く人も多かったのではないだろうか。
ジャック・シラク大統領で思い出すのは風刺漫画家のカビュ(Cabu)による一連の政治風刺漫画シリーズであり、それをまとめた「サルコ・サーカス(Sarko Circus)」である。サルコはサルコジの略称であり、シラク大統領は夜ごとにサルコジに大統領の座を奪われる悪夢にうなされベッドで「うわ〜」と叫ぶのだが、隣でベルナデット夫人が哀れな目線で見ているのである。カビュの描くシラク大統領は絶品だった。おそらく想像だが、シラク大統領も漫画を憎んでいなかったのではないか、という気がする。そのカビュは2015年1月7日、シャルリエブド銃撃事件で殺されてしまう。
シラク大統領は風刺漫画家に先立たれてしまったのである。もちろん、カビュが標的にした漫画家にはサルコジもいたし、国民戦線だった頃のマリーヌ・ルペンもいた。いずれも個性的で見事なタッチだったが、それでもデフォルメの中にカビュの好き嫌いが微妙に表れていたという気がする。カビュは風刺こそすれ、シラク大統領が好きだったのではないか、という気がするのだ。シラク大統領は新自由主義にカジ取りしたが、ロボット戦士のようなマクロン大統領よりは人間味があった。相撲が好きだ、ということもその表れだったと思う。もしかすると、あの世でカビュとシラク大統領は再会を果たしているのかもしれない。
※Sarko Circus
https://www.amazon.fr/Sarko-Circus-CABU/dp/2749102774
村上良太
■シャルリ襲撃で殺された漫画家、ジョルジュ・ヴォランスキの漫画1000点以上が閲覧できるサイトが登場。エロスを描いて一番のフランスが誇る漫画家
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