2019年10月12日13時07分掲載
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コラム
NHK経営の失敗要因を考える NHKは3つに分割して政府から独立した組織に監督させるべきだ
NHKは経営に失敗していると筆者は思う。NHKの会計簿を見ながら言っているのではない。ではその根拠は何か、というとNHKという企業体にとって最大の売りであった情報の正しさや速さ、公平性という価値をこの6年間のうちに損なった、ということにある。
Sonyという企業の最大の売りは何なのか?セブンイレブンというコンビニチェーンの最大の売りは何なのか?ニチレイの売りは何のか。企業にはそれぞれ核となる価値がある。顧客はその価値を信じてその商品やサービスを買う。ではNHKの価値は何か、というと人によってばらつきがあったとしても、情報の正確さとか、速さ、あるいは公平さと言ったことは基盤だ。ところが、NHKは政権や企業の圧力で放送コンテンツが影響されてきたと筆者は見ている。安倍政権べったりの政治部の記者・解説委員が、ジャーナリズムとは裏腹に、政権をべた褒めして恥じるところがない(※1)こともその根拠だ。そう、NHKはコアバリューを損なってしまったのだ。戦後70年近く信頼を集めてきたNHKだったが、その信頼が急速に失われていったのである。これは経営の危機に他ならない。普通の民間企業であればそうである。
普通の民間企業であれば株価が下がったり、倒産したり、あるいは大規模なリストラを余儀なくされていたはずだ。ところが、この数年、NHKが総務省とやってきたことはいかに国民全員から受信料を取りはぐれなく徴収するか、ということだった。ここも普通の民間企業ならあり得ない点である。企業価値を損ねていながら、同時に見ていないであろう人々からですら受信料の徴収を行う。今、NHKの経営委員長(※2)はJR九州の幹部だった人だが、今のNHKは民営化以前の国鉄と言ってもよいだろう。炭鉱がまだあり、長銀が活躍できた重厚長大産業時代の日本の企業文化(※3)そのものだ。もちろん、民営化がよかったかどうか、判断は分かれるかもしれない。しかし、今のNHKのシステムではNHKの価値を判断することはできないし、それ以上に経営の健全性を測る基準がないように筆者には思える。日本郵政グループによる注文というか恫喝(※4)をNHK経営委員会が議決すらなく秘密裏にNHK会長に圧力と言う形で伝えており、50年に一度あるかないかくらいのそんな重大なことがNHK経営委員会の議事録に残されていなかったことも企業のトランスペアレンシー(透明性)の問題である。様々な観点から見て、NHKの経営にはかなり疑問がある。
NHKが近年、面白路線、視聴率が稼げる路線に走ってきたことも、NHKが持つ本来の役割とはまったく異なるように思われる。もしNHKが視聴率を基準にして民間企業と同様な経営をするのであれば、そして視聴率を柱に職員を評価するのであれば、NHKは受信料を強制的な徴収にするのではなくて、スクランブルにしてみたい人だけが支払う仕組みに改めるべきだと思う。それでこそ視聴率の意味がある。視聴率が上がっても下がっても受信料の取りっぱぐれがないのでは遊びでしかない。単純に言えばそれは経営だけは一人安全圏にいながらにして、コンテンツを民放化することでしかない。(これはずるくないですか?)NHKには民放にはできない公共放送の使命があるはずだ。それが視聴率が取れないから、と言うだけで良質の企画や番組を切り捨てていてよいのか。筆者はスクランブル化に賛成と言うわけではない。ただ、NHKの監督権限を総務省から、独立した組織に移行するべきだと思う。NHKのコアバリューは何か。その目的のために組織はどのくらいの適正が必要か。NHKを抜本的に見直す時が来ている。
※1 首相記者会見 空疎な上っ面の言葉に終始 何一つ具体的な言葉が語られず 会見直後、岩田明子NHK政治部記者が「会見のポイント」を解説
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※2 NHK経営委員長・石原進(元日本会議名誉顧問)氏と安倍政権の関係 NHKは森友問題をどう報じてきたのか
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201803132237372
※3 赤旗「麻生副総理に原発マネー 九電と関係の深い企業から3年間で献金192万円」(2014年7月)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-07-27/2014072701_05_1.html
「泰氏は、18日夜には、貫正義九電会長、石原進JR九州相談役らとともに、福岡市を訪れた安倍首相と博多の料亭で会食、川内原発の早期再稼働を要請、首相から『川内はなんとかしますよ』という“答弁”を引き出しています。」
この頃、石原進氏はNHK経営委員だった。
※4 西日本新聞「NHKの公共性 信頼揺らぐ”かんぽ”報道」
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/548955/
「日本郵政の鈴木康雄上級副社長は、NHKの監督官庁である総務省の元事務次官だ。古巣への影響力をちらつかせ圧力を加えたのなら言語道断である。」
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