2019年10月12日17時33分掲載  無料記事
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難民

長期収容に断固抗議〜法務省前でのデモ行進〜

 出入国在留管理庁(以下、入管庁)による、在留外国人に対する不当な長期収容が常態化している。東京出入国在留管理局に1年以上収容されている外国人について見ると、2016年末には6人ほどであった人数が年々増加し、今年5月には110人に達している(難民支援協会調べ)。茨城県牛久市にある東日本入国管理センターでは、現在も多くの被収容者が施設内でハンガーストライキによる抗議を行い、健康状態が悪化した人々が一時的に仮放免で解放されることがあっても、体調の回復に伴って2週間ほどの短期間で再収容されるという事態が続いている。 
 
 このような入管庁による長期収容の常態化やハンガーストライキへの対応に抗議するべく、10月8日に東京都千代田区で、有志の市民団体SYI(収容者友人有志一同)の呼びかけによるデモ行進が行われた。日比谷公園に集まった人々は、「入管長期収容は拷問です」「入管で収容者餓死 責任をとれ」などと書かれたプラカードを掲げながら、「収容やめろ、人権守れ」と抗議の声をあげた。 
 
 デモに先立ち行われた法務省前での抗議活動でSYIメンバーの柏崎正憲さんは、「入管庁は、収容が長期化する要因を『送還を忌避する者が増えたからだ』としているが、これは帰国できない理由がある人々の事情を無視した考え方だ。移民と共存する社会で(入管庁は)このようなことを行っていてよいのか」と強く訴えた。また、抗議に参加をしていた別の男性は「仮放免されても、いつまた強制収容されるかわからない状態がずっと続いている。入管庁は、国連拷問禁止委員会による勧告も無視しており、権利を乱用している」と入管庁の姿勢に疑問を投げ掛けた。 
 
 2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催まで1年を切り、世界各国の視線が日本の外交や難民政策に注がれる中、現在の日本の在留外国人への対応は、決して世界標準であるとは言えない。多くの国では在留外国人を収容する際、収容期限に上限を設けた運用をしており、現在の日本のように期限を設けず1年以上の長期収容が常態化している状況は異常であると言える。 
 
 今年6月には長崎県の大村入国管理センターに収容中であったナイジェリア国籍の男性が死亡しており、これについて入管庁は10月1日、「摂食拒否による餓死が原因であるが、対応に問題はなかった」といった趣旨の発表をしている。このような悲しい事件が繰り返されることのないよう、入管庁は大村での死亡事件に関する情報の詳細を開示し、対応の是非について、改めて国民の目による審判を仰ぐべきではなかろうか。(岩本裕之) 


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