2019年10月14日10時18分掲載
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文化
フランスの風刺漫画家、ウィレム Willem 「リベラシオン紙にウィレムあり」
フランスのリベラシオン紙にはウィレム(Willem)という名前の風刺漫画家がいて、漫画家へのテロ事件にもめげず今も権力を風刺する健筆をふるっています。2015年のテロで殺された風刺漫画家たちは「ハラキリ」という風刺漫画媒体でかつて活躍していた漫画家たちですが、ウィレムもその一人でした。ウィレムが根城にしているのはリベラシオン紙だったため、シャルリの襲撃事件で殺されなかったのは不幸中の幸いでしょう。ウィレムは2013年のアングレーム国際漫画祭では漫画界への貢献を評価されてグランプリという栄誉を与えられました。
ウィレムの漫画で筆者が忘れがたい1枚は、殺戮や掠奪ですさんで不幸な貧しい人々の大平原を子供に示して「ごらん、お前の財産だよ」と言う資本家の父親を描いた1枚です。こんなボロボロの世界を自慢げに子供に示し、相続させようとする人間とはいったい何者なんだ?という強烈な風刺があります。
マクロン大統領の就任100日間を風刺したシリーズも印象深いものがあります。たとえば、王冠を被ろうとしたマクロンの下半身に多くの男女が群がり、フェラチオをしていることを想像させる1枚。強烈でした。また、マクロンが大統領に選出された翌月の下院議員選におけるマクロン新党・共和国前進の大勝利と社会党の惨敗を描いた1枚では社会党が絶滅した象に描かれ、死体が散らばっているものです。「象の墓場」と題されたこの1枚では象の屍の上に探検家のマクロンが聳え立っています。この象は当時の社会党党首(第一書記)、ジャン=クリストフ・カンバデリスでしょう。ドゴール時代から風刺漫画を描いてきたウィレムが未だに健在であるばかりか、最前線に立っていることを示すものでした。
※ウィレム作「マクロン大統領の就任100日」(リベラシオン紙)
https://www.liberation.fr/photographie/2017/08/15/l-oeil-de-willem-sur-les-100-jours_1590036?fbclid=IwAR25_rW6XRM9IRbPDib3LFZBXcFFEUm3uwSYduuKz7ZpSanuR8b3P-B94z8
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