2019年10月29日23時29分掲載  無料記事
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遺伝子組み換え/ゲノム編集

GM食品に警鐘を鳴らす仏セラリーニ教授の来日講演に合わせ、GM推進派が安全キャンペーン

 2012年、除草剤ラウンドアップと遺伝子組み換えトウモロコシNK603を長期に与えられたラットにできた大きな腫瘍の写真が公開されて、その危険性を改めて認識させる研究が大きな話題となった。その研究グループのリーダーであるフランス・カーン大学のセラリーニ教授が来日し、この31日に東京ウィメンズプラザ(渋谷区)で講演する。主催は日本消費者連盟と遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン。逐次通訳付き。参加は事前予約が必要なので日本消費者連盟まで問合せを。この講演会に合わせ遺伝子組み換え推進派も遺伝子組み換え食品と除草剤グリホサートの安全性を強調するセミナーを都内で開催するなどの動きを見せている。(有機農業ニュースクリップ) 
 
ラットの腫瘍の写真は以下で―― 
https://sustainablepulse.com/wp-content/uploads/Tumors-Rats1.jpg 
 
・日本消費者連盟 
  講演会「科学者とシェフが語る遺伝子組み換え食品と農薬の危険性」 
  http://nishoren.net/event-information/11636 
 
 セラリーニ教授らの研究が専門誌に発表された直後から、GM企業はもとより、EUを含む各国の規制機関までもが研究結果を否定する見解を公表し、論文撤回を要求していた。掲載誌は当初、論文の掲載撤回要求を拒否していたが、2013年に元モンサントの研究者で、遺伝子組み換え推進団体とも関係あるとされるリチャード・E・グッドマンを同誌の上級編集者に就任させ、大きな批判を浴びた。2013年11月、この掲載誌はセラリーニ博士らの問題の論文を撤回した。しかしこの論文は、翌2014年6月、別の専門誌に再掲されている。 
 
 モンサントの妨害により、エサとなるGM飼料の入手が困難であったことが大きな理由で、この研究まで2年にわたる遺伝子組み換え作物の長期の給餌試験は行われていなかった。セラリーニ教授らの研究グループは、周到な準備でモンサント開発のGMトウモロコシNK603を入手し長期の給餌試験にこぎつけている。 
 
 このセラリーニ教授の講演会にあわせるかのように、農薬・遺伝子組み換え推進派が10月21日、「農薬の安全性とラウンドアップの風評被害」をテーマにしたセミナーを開催した。主催は農業技術通信社と食品安全情報ネットワーク。登壇者には唐木英明氏(東大名誉教授)ほか。後半の討論のコーディネーターは小島正美氏(元毎日新聞記者)。農業協組合新聞はこのセミナーに合わせ、グリホサートは安全の論調でこのセミナーを紹介するなどの記事を掲載している。 
 
 ・農業協同組合新聞, 2019-10-4 
ラウンドアップの風評被害で緊急セミナー 農業技術通信社など 
  https://www.jacom.or.jp/nouyaku/news/2019/10/191004-39289.php 
 
【関連記事】 
 ・GMコーンの長期給餌試験 早期死亡と多発する腫瘍 
  http://organic-newsclip.info/log/2012/12090545-1.html 
 
 ・元モンサント研究者が専門誌の幹部編集者に就任 
  http://organic-newsclip.info/log/2013/13050559-2.html 
 
 ・掲載撤回されたセラリーニ論文 別の専門誌が再掲載 
  http://organic-newsclip.info/log/2014/14060624-2.html 
 
 以下、日本消費者連盟の案内より。 
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講演会「科学者とシェフが語る遺伝子組み換え食品と農薬の危険性」 
 
 遺伝子組み換え(GM)作物を開発し、世界中に売り込み、環境を破壊し、食の安全を脅かしながら利益を得ているモンサント社(バイエル社に買収)などの多国籍企業は今、ゲノム編集食品の開発に手をのばしています。 
 
 やみくもにゲノム編集食品の開発が進む今、フランスからカーン大学のセラリーニ教授をお招きし、改めてGM食品と除草剤ラウンドアップの危険性をお話しいただきます。セラリーニ教授たちのグループは、GMトウモロコシとラウンドアップの危険性を長期にわたる動物実験で立証。2012年、お腹に大きな腫瘍を抱えたラットの画像が世界中に配信され衝撃を与えました。実験が公表されるやいなや、多国籍企業やそれに連なる研究者らは、実験だけでなくセラリーニ教授個人を激しく攻撃し、実験結果を掲載した科学誌から論文が削除されました。モンサント社などの多国籍企業にとってそれほど脅威を与える実験だったのです。 
 
 セラリーニ教授と来日し講演するジェローム・ドゥーズレさんは、有機農産物を食材に料理をするシェフ。セラリーニ教授とともにGM食品や農薬の危険性を訴えています。 
 
【日時】2019年10月31日(木)12時30分〜16時30分(開場11時30分) 
【場所】東京ウィメンズプラザ ホール 
    最寄駅:地下鉄「表参道駅」B2出口7分 
    JR「渋谷駅」宮益坂口12分 
    アクセス http://www1.tokyo-womens-plaza.metro.tokyo.jp/outline/tabid/136/Default.aspx 
 
 ◎資料代2000円(逐次通訳付き) 
 ※要予約※(定員250名) 
 主催 日本消費者連盟、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン 
 
 【申込み・問合せ】日本消費者連盟 
  電話:03-5155-4765/FAX:03-5155-4767 
  電子メール:office.j@nishoren.org 
 
【講演者プロフィール】 
ジル=エリック・セラリーニ教授 
分子生物学者。フランス・カーン大学教授。同大学の「リスク、質、持続可能な環境センター」共同所長。フランス政府の遺伝子組み換え審査委員会の専門家委員を9年にわたって務めた。遺伝子組み換えトウモロコシと除草剤ラウンドアップの長期動物実験を行い、これらの隠された毒性を明らかにした。『食卓の不都 合な真実―健康と環境を破壊する遺伝子組み換え作物・農薬と巨大バイオ企業の闇』(明石書店)。 
 
ジェローム・ドゥーズレ氏 
シェフで、レストラン経営者。フランスの民間研究グループ「遺伝子工学独立研究情報委員会(CRIIGEN=クリージェン)」の役員を務める。遺伝子組み換え作物や農薬の危険性を訴えながら、生命力にあふれた、自然なオーガニック」料理を極めるために、セラリーニ教授と世界中で講演活動を行っている。 


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