2019年11月19日01時28分掲載  無料記事
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反戦・平和

響く「武器見本市NO!」の声〜「DSEI Japan」抗議行動に400人超の市民

11月18日、千葉県・幕張メッセで「DSEI Japan2019」が開幕した。「日本初の防衛・セキュリティ総合展示会」と銘打たれて3日間の日程で開催される同展示会には、約50社の日本企業と約100社の海外企業が出展する。 
 
日本で開催される本格的な「武器見本市」に対し、違和感や拒絶反応を示す市民は多い。「DSEI Japan」の開催をめぐっても、地元を中心とした反対活動が取り組まれてきており、開催中止を求める署名集約や行政・議会への要請行動、各種反対イベントなどを通じて「武器見本市NO」が訴えられ、開催反対の声は大きく広がりを見せた。 
 
結果的に開催が「強行」される形となったことを受け、「DSEI Japan」初日の11月18日には会場前に410人の市民が集結。ヒューマンチェーンやダイ・インなどが取り組まれ、「武器見本市・死の商人おことわり」の声が幕張メッセ周辺に響いた。 
抗議集会で発言した「安保関連法に反対するママの会@ちば」の金光理恵さんは「戦争がなくならないのは死の商人がいるから。今日もここに死の商人が世界中から集まっています。黙っている訳にはいきません。残念ながら武器見本市は開催されましたが、私たちには正義がある。政府が誤った道を歩んでいる今、私たちにはそれを改めさせる義務と権利があります」と訴える。 
また、展示会場内の様子について報告した「幕張メッセでの武器見本市に反対する会」の杉原浩司さんは「今回は今まで見てきた中で最も露骨に武器が展示されていた。武器見本市は、否応なく紛争地と日本を地続きにする。憲法9条を持つ日本で、このような武器見本市が堂々と開かれてしまう現実を直視しなくては」と述べ、様々なテーマで運動する人たちと力を合わせて反対の声を大きくする必要性を呼びかけた。 
 
集会には共産党の井上哲士参議院議員も参加し、「武器を売って儲ける国、そんな国を誰が望んでいるのか。憲法9条によって世界をリードし、世界から信頼される国になろう」とあいさつ。立憲民主党・宮川伸衆議院議員と共産党・小池晃参議院議員からのメッセージも紹介された。宗教者、アーティスト、医療従事者らもスピーチに立ち、それぞれの立場から「武器見本市反対」を訴えた。 
 
「DSEI」の日本開催に危機感を覚える声は国内にとどまらない。集会の中では、「武器貿易反対キャンペーン」(CAAT、イギリス)や「パレスチナ人民支援国際委員会」など国内外から寄せられた6団体・個人からの連帯メッセージが紹介され、韓国からは武器見本市反対運動に取り組むメンバー4人が集会に参加した。韓国では日本以上に武器見本市の開催が常態化しており、今年10月に韓国で開催された「ソウルADEX2019」の反対運動に取り組んだ女性は「平和運動には連帯が必要。わたしたちの力を合わせて武器見本市をやめさせよう」と呼びかけ、参加者からは大きな拍手が送られた。 
 
「DSEI Japan」には、防衛省・外務省・経済産業省が後援に名を連ねており、いわば日本政府が開催にお墨付きを与えた格好だが、平日にも関わらず400人を超える市民が集まり、直接反対の声をあげた事実は重い。抗議集会中、福島原発事故調査委員会(国会事故調)委員の崎山比早子さんは「最先端の技術を駆使し、より効率的に人を殺す道具を製造・売買して利益を上げようとする武器商人の存在自体が罪悪。その武器見本市を開催することは国際社会における大いなる不名誉で、開催を認めた日本政府と開催場所を提供した千葉県は世界に恥をさらしている。日本の政府は、一旦決めたことから方向転換することが極めて困難なのは原発再稼働などでも明らか。武器見本市が成功し、武器産業が力を得れば恐ろしい道へと突き進むことになる」と指摘したが、国際的な注目も集まる中、武力行使を否定し戦力放棄を掲げる憲法9条を持つ国として、武器との関わり方・向き合い方を再考するために残された時間が長くないことは間違いない。 


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