2019年11月21日20時42分掲載  無料記事
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政治

安倍政権の2887日はワースト記録 根本行雄

 11月20日、安倍総理大臣の在任期間は通算2887日で、桂太郎元総理大臣を抜いて憲政史上最長となった。記録にも、いろいろな記録がある。この記録は憲法を順守せず、国会を軽視し、主権者である国民をだましている政治の記録である。だから、戦後政治のワースト記録である。悪臭ぷんぷんの安倍政権はまだまだ続く。 
 
 安倍政権の2887日とは、憲法を順守せず、国会を軽視している政治であり、日本を「戦争のできる国」にするための憲法改正(改憲)である。 
 
 憲法を順守しない。国会を軽視する三権分立の破壊。平和主義の否定。基本的人権の軽視。主権者である国民をだましている。安倍政権は日本国憲法を骨付きにしている。だから、戦後政治のワースト記録である。悪臭ぷんぷんの安倍政権はまだまだ続く。 
 
□ 憲法改正 
 
 自民党政権は自衛隊の存在は「合憲」であるという立場を取っているが、もし現行憲法が自衛隊を認めているのであれば、憲法改正の必要がない。安倍を筆頭とする自民党の議員たちは、憲法に「自衛隊」を明記すれば、このような「違憲」状態を解消することができると考えているようだ。 
 
 自衛隊という存在そのものが憲法違反である。それを「解釈改憲」という手法で、自民党という長期政権が自衛隊を増強させ続けてきた。その結末が、2015年9月の「安全保障関連法」の成立である。安倍政権は従来の政権が違憲としてきた集団的自衛権の行使を「安全保障関連法」の制定によって可能とした。 
 
□ 武器見本市 
 
 11月18日、千葉県・幕張メッセで「DSEI Japan2019」が開幕した。「日本初の防衛・セキュリティ総合展示会」と銘打たれて3日間の日程で開催される同展示会には、約50社の日本企業と約100社の海外企業が出展する。 
 
 日本は長らく、「武器輸出三原則」で、武器や関連技術の輸出を原則禁止してきた。このため、武器のPRが主目的の見本市は開催されてこなかった。 
 
 安倍政権は2014年に「防衛装備移転三原則」を閣議決定し、武器禁輸から輸出へと政策転換した。これにあわせて防衛装備庁が新設され、防衛装備品の輸出に向けて、政府として取り組んでいる。同庁によると、武器の見本市は、政策転換後、海軍関係のものが行われたことはあるが、陸海空の総合的な展示会は初という。 
 
 武器見本市は、日本からの武器輸出の促進のために始まったものである。 
 
 武器を販売するということは、国際人道法違反の戦争犯罪を行う国に大量の武器を供給したり、核兵器の製造に関与するなど、国際人道法違反や戦争犯罪に公然と加担する軍需企業(死の証人)の活動を支援することである。 
 
 日本国憲法9条は、戦争と武力による威嚇、武力の行使を永久に放棄し、陸海空軍その他の戦力を保持しないと「平和主義」を明記している。武器見本市の開催は、憲法に違反している。だから、防衛省、外務省、経産省による「後援」は許されない。 
 
□ 国会軽視 
 
 自民党政権は働き方改革関連法、参院定数を「6増」する改正公職選挙法に続き、カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法も強行採決し、問題を数多く抱える法律案を熟議することなく強引に成立させた。いずれの法案も、急いで成立させなければならない緊急性、重要性のある法案ではない。そのうえ、法案の内容には問題が山積しているのだ。こういう法案を十分に議論することなく、強行採決という手法を安易に繰り返している。三権分立は名ばかりだ。国会は完全に軽視されている。これはナチスが押し進めた政治手法と同じだ。 
 
□ 公文書の改ざん、廃棄、隠滅 
 
 2018年5月23日、財務省は、学校法人「森友学園」との交渉記録と改ざん前の決裁文書を国会に提出した。交渉記録を巡っては、国有地売却が国会で問題となった昨年2月以降、当時理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官が、記録は「廃棄した」と繰り返し答弁した。財務省はその後も交渉記録の存在を認めていなかった。財務省は同日、この答弁とつじつまを合わせるために改ざんだけでなく、理財局の一部職員の指示で保管していた記録の廃棄を進めていたことも明らかにし、富山一成理財局次長が「深くおわびします」と陳謝した。 
 
 モリトモは代表例だ。公文書の改ざん、ねつ造、隠蔽、廃棄。公務員は偽証、虚偽答弁。腐りきっている。 
 
□ 実効性のない政策 
 
 全国の待機児童数は2年連続で減少しているが、依然として約1万7千人(2019年4月1日時点)に上っている。無償化は子育て世帯の負担軽減を目的としているが、その実態はとてもお粗末なものである。多くの人々が認可保育所どころか認可外の施設にすら入れるか分からないという状況が続いている。保育所の数は足りないし、立地場所も悪い。そのうえ、保育士の給与は低く、待遇もよくないから、人材不足に陥っている。安倍首相の政策は選挙で勝つための思いつき、口先ばっかりのリップサービスなので、いつも実効性がない。アベノミクスも、しかり。「巧言令色鮮し仁」国民はいつまで騙されているのだろうか。 
 
□ 「桜を見る会」 
 
 「桜を見る会」に関し、菅義偉官房長官は11月20日午前の衆院内閣委員会で、今年4月の「桜を見る会」に、首相側の推薦に基づき約千人が招待されていたことを明らかにした。全招待者の約6.6%を占め、妻昭恵氏の推薦者も含まれていた。また、自民党関係者による推薦が全招待者の約4割に当たる約6千人を占めたことにも言及した。菅氏は「招待基準があいまいであり、招待者の数が増えた。こうした運用は大いに反省している」と陳謝した。 
 
 菅氏によると、今年の招待者は約1万5千人で、うち首相の推薦が約千人、麻生太郎副総理兼財務相、菅氏、官房副長官からの推薦が計約千人、自民党側からの推薦が約6千人、公明党関係者や国際貢献・芸術文化関係の特別招待者、報道関係者、元国会議員などが計約千人だった。一方、開催要領に沿って各省庁が推薦した各界の功労者、日本駐在の大使や公使、国会議員、勲章受章者などは計約6千人だったという。 
 
 このような税金を使った行事に、特定の政党が私的に利用することは政治倫理に反することは明らかだ。 
 
 そのうえ、安倍首相による答弁がしどろもどろ、説明になっていないうえに、あとからあとからごまかしが明らかになっている。この問題も、加計学園問題やモリトモ問題のようにごまかし通すことができのだろうか。 国民はいつまでだまされつづけているのだろうか。もう、すっかり茹でカエルになってしまっているのか。 
 
□ ワースト記録 
 
 2017年10月の衆議院議員選挙において、小選挙区では自民党は48%の得票率で75%の議席を獲得した。過半数に達しない政党が、3分の2の議席を獲得するトリック。選挙制度は、代議制民主主義の根幹にかかわっている。主権者である国民の意思を反映しない制度は議会制民主主義を根底からなし崩しにしていく。安倍政権は「自民1強」の議席数にものを言わせて、改ざん、隠蔽、虚偽答弁、強行採決などなど、議会制民主主義を亡ぼす道を押し進めている。 
 
  与党自民党の議員たちは、だれのための政治をしているのだろうか。主権者である国民を軽視し、ないがしろにしていることは明らかだ。国民不在の政治であり、亡国の政治であることは明らかだ。 
 
 11月20日、安倍総理大臣の在任期間は通算2887日で、桂太郎元総理大臣を抜いて憲政史上最長となった。記録にも、いろいろな記録がある。この記録は戦後政治のワースト記録である。悪臭ぷんぷんの安倍政権はまだまだ続く。 


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