2019年12月16日23時31分掲載
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コラム
ファシズムの「兆候」ではない ファシズムの真っただ中
安倍政権をファシスト政権だと明快に書いたら、普段の倍以上の人に読まれています。ここで誤解のないように指摘したいのは、今の安倍政権が行っていることはファシズムの「兆候」なのではなく、今、すでにファシズムが「全開」しているということです。ファシズムなら、ジャーナリストを投獄したり、銃殺したり、黒シャツを着たり、少数民族を収容所に入れたり・・・といった20世紀のファシズムを思い浮かべがちですが、21世紀の今日、ファシズムも新しくなり、ネオ・ファシズムと言っていい形態になっています。
つまり、表面的には国会もあり、裁判所もあり、選挙もあり、一見、民主主義が機能しているように見えて、その内実は何もなくなってしまう、という形での民主主義の形骸化が本質です。国会パブリックビューイングという国会可視化運動が日々、明確に示しているのがそのことです。G7などの先進国にとどまっていたいがために、表向きは民主国家の体を取り繕っています。(かつて華族が鹿鳴館でダンスをしていたのと同じです)しかし、中身は国会議員の質問に答えない、容疑者は逮捕されない、公共放送が北朝鮮も負けるほどの首相絶賛報道を繰り返す。重要な憲法解釈を恣意的に一夜で変える。自分の支援者は税金で東京で遊興させる。公文書をいくらでも廃棄する。・・・これらを戦争放棄を核とした「戦後レジームからの脱却」を合言葉にして白昼堂々と行ってきました。女性記者に対する菅官房長官の回答や国民に選ばれた国会議員に対する安倍首相の回答の傲慢ぶり、不真面目ぶりを見れば、彼らの本質が国民など眼中にないファシストであることが明白です。
こうした実態を見ると戦後初の日本のファシズムと言ってよいでしょう。これから始まるのではなく、すでに重い病気になっています。安倍首相は国民を敵と味方に分け、味方には様々な便宜を税金で提供しています。しかし、籠池夫妻のようにいったん敵と認めればとことん迫害します。このような今の日本が民主主義にあると思っているとしたら、自己欺瞞です。ファシストは対話をしません。ですから、ファシスト政権は選挙であれ、大衆による反対運動であれ、力づくで引きずりおろすしかありません。安倍首相は一見、国民に説明する機会を設けているように見えて、その実は記者の自由な質問を封じて、自分がしゃべりたいことだけを手前勝手に話しているだけです。彼らは対話の回路を持ちません。
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