2020年02月15日17時43分掲載
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政治
貧困層が医療に十分アクセスができないことを示す米政府資料
米国のU.S. Department of Health & Human Servicesという省庁が公開している貧困層の医療アクセスを考えるための資料があります。2013年〜2014年ころのデータを使っているものなので、数年の差はありますが、これらの数値からアメリカの貧困に関する概要が見えてくるはずです。
https://aspe.hhs.gov/basic-report/financial-condition-and-health-care-burdens-people-deep-poverty
まず2013年の基準値ですが、単親で二人の子供がいる家族の場合、家族の収入18,769ドル(およそ200万円弱)が「貧困」の閾値とされています。そして、その半分の9,385ドル(およそ100万円弱)以下の場合、極貧に位置づけられるとのこと。この資料では米国民の14.5%、4530万人が公式な貧困者の数とされます。このうち、およそ2000万人が極貧者とカウントされています。米人口が3億3千万人くらいなので、確かに7人に1人程度、およそ4千500万人が貧困者になるようです。
このサイトのデータが興味深いのは、貧困の閾値以下の人々の収入の額と、生活に必要な材やサービスに支払う費用のグラフが示されていることで、貧困者の60%近くは生活に必要な支払いが滞っていることがわかります。貧困者の半数は一人当たり年間30万円以上(1ドル=100円と単純換算した場合)絶対的な生活費が不足しています。そして、これらの人々が医療施設にいつ、どのくらいアクセスするか統計を取ると、年度末に集中しており、このことはメディケイドという医療福祉制度と関係しているようですが、説明では健康不良が起きても初期段階では病院にアクセスしない人が大半だと説明しています。とにかく、その医療費がポケットマネーで払わなくてはいけなくなると、その金を工面するのが難しいのです。普段の生活費ですら足りていないわけですから。そして、貧困者がそうでない収入層の人々よりも健康を害している率が高いと言っています。
近代国家の意味を考えた場合、医療に十分にアクセスすらできない国民が7分の1存在することは国の存在意義に疑問を付されていると言って過言ではないでしょう。それらの人々はそれ以前に生活に必要な物資にもアクセス不能になっています。これらの人々に手を差し伸べることは政策の右とか左とかのイデオロギーとは別次元で、国家存立の基盤を確保するという次元の緊急課題です。
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