2020年03月02日05時23分掲載
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検証・メディア
毎日新聞のNHKかんぽ報道続報 前NHK経営委員長・石原進氏と前委員長代行の森下俊三氏(現NHK経営委員長)の放送法違反の疑い NHK関係者は腹をくくって真実を
本日の毎日新聞朝刊はNHK前経営委員長の石原進氏と前委員長代行の森下俊三氏(現経営委員長)が「クロ現+」のかんぽ報道に圧力をかけたのは放送法違反の疑いがあることを大きな紙面で報じた。これまで安倍政権に忖度してきた他の大手紙にはできない勇気ある報道だ。
NHK関係者は今こそ、真実を語る時である。その他にもこの二人は圧力をかけていなかったか、他の番組にも介入していなかったか。番組をつぶしていなかったか。番組企画の採用方針を激変させなかったか。スタッフを干していなかったか。理不尽な命令を出していなかったか。今こそ、NHKは膿をすべて出す時だ。それをすることが国民・視聴者の信頼を回復する残された唯一のチャンスと言ってもいい。
石原進前NHK経営委員長はかつて改憲を求める日本会議(福岡)と原発推進団体「原子力国民会議」の要人だった。さらに九州の財界人としては麻生太郎副首相の一族と近しい位置にいた。つまり、政治的な中立とは程遠い財界人だった。このことは中立を破って番組にまで介入した今回の事件とも無関係とは言えないのではないか。
石原氏がNHK経営委員に就任したのは2010年12月11日、福島原発事故の前年。NHK経営委員長になるのが2016年6月28日。任期が切れて再任されず、退いたのが昨年12月。この間に、福島原発事故が起きた。原発廃止と原発再稼働をめぐるイシューに関して、石原氏ほどNHK経営委員に不適切な人物はなかったと言ってよい。なにしろ原発推進団体「原子力国民会議」の共同代表だったのだ。そのことは2012年12月に改憲を目指す安倍総裁率いる自民党が総選挙で勝利した結果、第二次安倍政権が発足して、さらに不適切となった。石原氏は改憲を求める日本会議(福岡)の名誉顧問だったからだ。2016年6月にNHK経営委員長に就任した時に、批判されて名誉顧問職を降りただけなのである。日本会議は自民党の安倍政権とは濃密な関係の政治圧力団体だ。
「驚くべきは日本会議の構成員が閣僚に占める割合である。第一次安倍内閣では首相をはじめ12人、麻生内閣では9人だった。それが改造前の第二次安倍内閣で13人になり、現内閣では19人中15人に増えた。公明党枠の1人を除く閣僚ポストの8割強を日本会議に関係する議員が占めている。」(魚住昭「日本最大の右派団体「日本会議」と安倍政権のただならぬ関係 なんと閣僚の8割が所属」)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/44029?page=2
このような状況の中、NHKの経営委員長のポストに日本会議関係者の石原進氏がついたのである。まずこのこと自体がNHK経営委員会という組織の不透明性を示すものだ。いったいどういう基準で人事をやっているんだ。ところがマスメディアは〜毎日新聞を除くと〜この重要な問題をほとんど無視してきたのである。
※NHK経営委
石原委員長が「日本会議福岡」名誉顧問辞任(2016年7月 毎日)
https://mainichi.jp/articles/20160727/k00/00m/040/090000c
※NHK新経営委員長に「日本会議福岡」名誉顧問――NHKが事実上の回答拒否(2016年8月 「金曜日」)
http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2016/08/18/%EF%BD%8E%EF%BD%88%EF%BD%8B%E6%96%B0%E7%B5%8C%E5%96%B6%E5%A7%94%E5%93%A1%E9%95%B7%E3%81%AB%E3%80%8C%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BC%9A%E8%AD%B0%E7%A6%8F%E5%B2%A1%E3%80%8D%E5%90%8D%E8%AA%89%E9%A1%A7%E5%95%8F/
※原発推進団体の代表と一時重複 NHK・石原氏(Economic News)
http://economic.jp/?p=65084
※麻生副総理に原発マネー
九電と関係の深い企業から3年間で献金192万円(2014年7月 赤旗)
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-07-27/2014072701_05_1.html
「(麻生)泰氏は、18日夜には、貫正義九電会長、石原進JR九州相談役らとともに、福岡市を訪れた安倍首相と博多の料亭で会食、川内原発の早期再稼働を要請、首相から「川内はなんとかしますよ」という“答弁”を引き出しています。」
武者小路龍児
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