2020年03月08日12時22分掲載  無料記事
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コラム

トイレットペーパーがなくなったら・・・コロナウイルス騒動で

  コロナウイルスの騒動でトイレットペーパーが買い占められている、という噂がツイッターで出回っていた時、まさかそんなことが起こるとは思えなかったので何日か無視していた。それでもそうした情報が続くので、ある日、店を一度のぞいてみようという気になって行ってみたら驚いたことに売り場からトイレットペーパーがきれいさっぱりなくなっていたのである。まさか自分の暮らす街のリアルな現実になっていたとは。売り場の人に聞いてみると、前日から買いに来る人が増えてなくなり、問屋にも買いが注文して混乱状態になっている。だから次にいつ入荷されるかわからない、というのだった。これは困ったことになったな、と思った。 
 
  トイレットペーパーがなくなったら・・・・考えると面倒な事態だ。それでも仕事でアジアやアフリカを旅した時、トイレットペーパーを使わない国や地域があるのである。身近なところではタイがそうだったのだが、トイレには水を入れたバケツとひしゃくだけ置いてある。大便をしたら、その水で尻を洗って手も洗う。アフリカ北西部の西サハラの場合は床に穴が1つ掘ってあり、その脇にやはり水を張ったバケツとひしゃくがある。文化人類学者の石毛直道氏によると、イスラム圏の国々では左手は「不浄」であるため、食べ物をつかんではならない。食べる時は基本は右手だと書かれている(「食卓の文化誌」)。こうした社会では手づかみで食事をしてきたのである。 
 
  こうしたことを考えていると、トイレットペーパーがなくなったとしても「水」がある、ということが大きな意味を持つと思えてきた。水があればなんとかなるのだ。そんなことを思って眠ったら、翌朝にはトイレットペーパーが店に入っていた。 


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