2020年03月14日02時41分掲載
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文化
ティボー・ソルシエの1コマ漫画と料理 パンデミックで男が家に閉じ込められた時
フランスで最近出回っている1コマ漫画が、37歳のティボー・ソルシエによるもの。新型コロナウイルスで仕事場に行けなくなったのか、お父さんと娘が台所で一緒に料理を作っている。お父さんは今までの仕事がむなしく感じられるようになり、この世界が狂っていることに気がつき始めるのだ。この漫画のタイトルは「自宅監禁の真の危険」。
https://twitter.com/Telerama/status/1238502990807433219/photo/1
これは面白い視点だし、実際に、そうした男性はいるのかもしれない。職場では忙しさに追われ、調理する場所もないから、外食したり、コンビニ食をしたり、という人が多いはず。しかし、自宅待機とか、自宅で仕事をするようになると、男もその気になれば自炊に取り組むことができる。そして、やってみると、意外と楽しい。今までコンビニ弁当やらスーパーの総菜やら、レストランのメニューやらに拘束されて、それだけが「食事」と思い込まされていたことに気がつくのだ。たとえ店に何千の商品アイテムがあったとしても、その「選択の自由」は自分でゼロから作る自由に比べれば、所詮、ごく限られたものでしかない。今までの人生は大海の一滴だったのではないか。本当にあんなものが食べたかったのか?・・・そして料理を作ることから、いろんなところへ考えも広がっていく。ティボー・ソルシエの漫画は、そのことを伝えている。そして、これは「真の危険」だと皮肉っているのである。
このことは以前ここで取り上げたことがあるフリオ・コルタサルの短編小説、「南部高速道路」にも通じるものがある。
※漫画家ティボー・ソルシエのウェブサイト
https://soulcie.fr/
ソルシエはフランソワ・リュファン(ジャーナリスト、映画監督、国会議員)の映画のポスターの漫画も描いているようだ。
■「コルタサル短篇集」 (木村榮一訳 岩波文庫)
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