2020年03月20日13時08分掲載
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アジア
NPO法人アジア太平洋資料センターの最新報告「バナナが降らせる『毒の雨』」
NPO法人のアジア太平洋資料センター(PARC)がフィリピンのバナナの生産現場における農薬とその健康被害についての報告書を新たにまとめました。バナナのプランテーションにおける画一的な大量生産方式が必然的に大量の農薬を必要とする、という悪しき構造を持っています。では、現地住民や労働者の健康被害はどのような状況なのか。1970年代からPARCの設立者の一人、鶴見良行氏(「バナナと日本人〜フィリピン農園と食卓のあいだ〜」の著者)が先鞭をつけたフィリピンのバナナの生産現場の研究が今も続いています。以下はPARCのプレスリリースです。
2020年3月19日
・NGO、フィリピンにて「バナナへの農薬を原因として健康被害を受けた」とする証言を報告
・環境配慮認証レインフォレストアライアンス取得バナナから使用禁止農薬も複数検出
http://www.parc-jp.org/kenkyuu/2019/banana.html
(↑ ここからPARCのサイトにアクセスできます)
東京に事務所を置くNPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)は、報告書「バナナが降らせる『毒の雨』」にてフィリピン・ミンダナオ島でバナナに対して使用される「農薬が原因で健康被害を受けた」とする住民や労働者の証言を取りまとめ、報告した。また、国内にバナナを流通させる大手事業者三社のバナナに対する農薬のスクリーニング調査を行ない、推察される現地における農薬管理状況についても言及。
報告書では「バナナに対する農薬が原因」として下記の症状を訴える現地住民や労働者が紹介されている。
・家畜が死んだ
・失明した
・皮膚が激しい炎症を起こした
・腎機能を失った
・出生異常につながった
また、国内流通バナナの農薬スクリーニング調査を行なった結果、環境への配慮に力点を置いた認証ラベル「レインフォレストアライアンス」の認証を受けたバナナから使用が禁止されている農薬成分(イミダクロプリド)を複数の検体から検出した。
さらに、国内流通バナナの大手3社のバナナに残留する農薬成分のスクリーニング調査では、スミフル社バナナからは1検体当たり平均1.87成分、ドール社バナナからは平均1.12成分が検出された一方でユニフルーティ社バナナからは平均0.15成分しか検出されず、84.6%の検体からは農薬成分が検出されなかった。
農薬成分が多く検出されることが、ずさんな現地オペレーションを証明するものにはならない。しかし、安定して残留量を低減させるにはある程度の管理環境が必要であり、3社の間には管理体制の有意差があることが結果から推察される。
NPO法人 アジア太平洋資料センター(PARC)
共同代表 内田聖子/大江正章 (担当:田中)
■「緊急声明:問題を放置したままの住友商事の撤退は許されない 株式売却前にフィリピン・バナナ生産現場での労働・人権問題に責任ある対応を!」 2019 年 6 月 19 日
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