2020年04月02日00時40分掲載
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コラム
食料自給率 40%未満でも大丈夫???
新型コロナウイルスとの闘いの最中、不安をあおりたくないが、食料自給率が40%未満で、日本は乗り切れるのだろうか? 都市における生産活動が停滞し、都市部がほとんど利益を生まなくなっても、食料だけは毎日とり続けなくてはならない。だが、政府がいくら国民に手当てを与え、農村や漁村に資金を投じたとしても、すぐに食料供給が増加すると言うわけではなかろう。やはり、外国からの輸入頼みであることには変わりはない。とはいえ、食料生産国でも同様の事態が続き、次第に食糧難となっていくと、そうした国々が外国に食料を輸出し続ける余力がいつまであるのだろうか。何しろ、今世界中で労働が〜自宅で働くのは別として〜かなりストップしているのである。
そこで思い出されるのは第二次大戦の末期あるいは敗戦直後の光景である。筆者は直接経験しているわけではないが、その時、都会の人々が空襲で生産活動はストップし、みんな飢えている中、農村にいる人々は食料を持っていた。そこでリュックを担いで、配給で足らない分を入手するために都会の人々は農村へ繰り出したのである。それは法律違反だったが、生きるためには法律などは二の次だったのだ。
おそらくは冷戦後に生まれたグローバリゼーションという現在の世界秩序への信頼が続けば大丈夫だろうが、危機が長期化すると、グローバル化への逆噴射が始まる可能性もある。グローバリズムは虚妄だ、と世界の人々が思い始め、その方がリアリティを持ち始めると、事態が変わってくる可能性もある。銀行で刷られたマネーへの信頼がハイパーインフレで吹き飛んでしまうのと同じだ。ハイパーインフレはマネーよりも米や缶詰やせっけんやトイレットペーパーなどの方が価値を持つ事態である。人、モノ、金が国境を自由に移動できた時代から、何か新しい事態が始まる可能性はないのだろうか。差し当たって、国内で食料を生産している人々を支援する必要はないか。
南田望洋
■伊藤元重著「入門 経済学」(日本評論社)
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