2020年04月08日14時03分掲載
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政治
新型コロナウイルスが安倍政権を救う
新型コロナウイルスによって鳴り物入りで進めてきた東京五輪が延期となるなど、安倍政権にとってはダメージではないか、と見る向きもあるが、実際にはこの話題がメディアの最大の関心事となり、桜を見る会や森友疑惑の追及が忘却の彼方に行ったかに見える今、最大に恩恵を被っているのは安倍首相その人であろう。「真水」の予算は少なくしたまま、緊急事態宣言も行うことができ、憲法改正後の予行演習にもなったのだ。
マスメディアはうまく本題からそらされることに政府に最大限協力しているように見える。実は少し冷静になって振り返れば、全然違った紙面を作ることもできたはずなのだ。見出しのものものしさ、それ自体がすでに批評を失って蛇に呑まれてしまっている。
憲法改正などしないままに、すでに駅前での国会パブリックビューイングや政権批判のデモなどは極めてやりにくい状況を創り出すことに安倍政権と小池都知事は成功した。5月6日までと期間は限定されているが、この旨味を為政者たちは忘れることができるだろうか。むしろ、さらに押してくるだろう。批判集会の抑圧は政権の維持に絶好のチャンスを生み出す。過去10年近く作られ、世界各地で続けられてきた市民運動の流れをここで一気に「人命尊重」をてこに、封鎖できるチャンスである。次の選挙はいつなのだ。緊急事態宣言は政府が国民をコントロールするには抜群に効率の良い手段だ。そのことを政府は学習しつつある。
武者小路龍児
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