2020年04月23日10時33分掲載
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靖国神社問題
新型コロナウイルスの感染拡大により見えてきたもの
新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない。テレビの報道番組では、毎日のように新型コロナウイルス関連情報が放送され、外出自粛の徹底や手洗いの励行が呼びかけられている。また、安倍総理や小池都知事が頻繁に会見を行い、日々変化する新型コロナウイルスへの対応状況や感染者数を公表している。4月17日には東京都の一日の感染者数が初めて200人を超え、4月20日には国内の一日あたりの死者が25人で最多人数を更新するなど、まだまだ収束の兆しは見えない。
先の見えない現状に国民の誰もが不安を抱える中、特にこのような状況を恐ろしく感じているのは、重症化しやすい高齢者や基礎疾患を持つ者、介助者がいなければ生活することができない障害者などであろう。これらの人々は、感染が判明すれば則、命に関わる。れいわ新選組の木村英子・参院議員が、Twitter上で新型コロナウイルスへの感染が疑われた障害者が関係機関をたらい回しにされる状況について触れていたが、このように感染の有無を判別するための検査の実施すら十分にできないというのが日本の現状で、治療が遅れた末に最悪の事態に陥るということが常に起こり得る。
木村議員Twitter
https://twitter.com/eikokimura/status/1250372901850607617?s=19
振り返ってみると、横浜港に入港したクルーズ客船のダイヤモンド・プリンセス号船内における感染が拡大した時期が2月初旬であった。この頃はまだ日本国内での新型コロナウイルスへの感染判明者数が少なく、ここまで感染拡大が日本に大きな影響を及ばすと思っている者は少なかったように感じる。そこから2か月半ほどの間に情勢が大きく変化し、感染者数の増加に伴い東京オリンピック・パラリンピックが延期となり、日本政府が緊急事態宣言を発するまでに至った。
ここまで深刻な事態となった要因としては、もちろん新型コロナウイルスの感染力の凄まじさもあろうが、日本においてはどうしても初期対応の甘さが響いたように感じられる。PCR検査などの検査体制について、当初検査数を抑えてしまったことが感染者数の正確な把握を遅らせ、それが結果として感染者の増加を招いてしまったのではなかろうか。海外では、ドライブスルー方式による効率的な検査により、感染が広がる早い段階でより多くの者にPCR検査を行っており、日本においてもそのような事例を参考にし、検査の母数を効率的に増やすことで速やかに実態を正確に把握するべきであった。同方式にはこれまで賛否両論があったが、感染が拡大した現状では、このような効率的な検査体制の充実が政府には求められているはずである。
また経済面に目を向けると、多くの企業が政府の緊急事態宣言により休業を余儀なくされ、運転資金の枯渇などの理由で倒産に至るケースも発生している。帝国データバンクによると、新型コロナウイルス関連の倒産は全国で75件(4月21日16時現在)発生しており、特に旅館やホテルなどの宿泊業の廃業が目立つ。その中には、「宿泊予約のキャンセルが3月は全体の80パーセント、4月は全体の95パーセントに」などというホテルもあり、改めて厳しい現状が浮き彫りになったといえる。政府は4月7日に緊急経済対策を打ち出し、中小企業に対して最大200万円の現金給付を行い、金融機関でも実質無利子・無担保の融資が受けられる制度の創設を発表しているが、新型コロナウイルスの影響が長期化するにつれ、体力のない中小企業などから倒産が相次ぐことになるであろう。先を見据えた追加の支援策をいち早く整えてもらいたい。
ウイルスとの戦いは長期戦を覚悟しなければならない。そのような状況の中でストレスを溜め、現状を悲観し過ぎることは自分を追い詰めることに繋がる。周囲を見ると、マスクの欠品が続く中でハンカチなどでおしゃれなマスクを手作りしたり、店舗の休業により宴会などが開催できないことから、自宅でビデオ通話をしながらお酒を飲む「オンライン飲み会」を開催したりと、「今できることを楽しもう」と前向きに新しい取り組みをしている者もいる。オンライン飲み会などは、スマホアプリのLINEなどを使って手軽にできることから、ぜひ試して頂きたい。「今はそれどころではない」と一蹴することは簡単ではあるが、この機会に自分なりのストレス解消法を改めて探してみるのもよいのではなかろうか。
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