2020年05月17日16時00分掲載  無料記事
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市民活動

コロナで飯が食えない人が増えている 百姓グループと市民グループつながって緊急支援

コロナ下、「コメと野菜でつながろう」を開始しました。発端は上越の若手コメ作り百姓天明さんの電話でした。田んぼで忙しい時期に入り、田植えの準備を始めたがなんとなく居心地が悪い、というのです「こうしている間にもコメが食えない人が出ている。何のためにコメを作っているのか。ささやかでもコメを届けたい。百姓仲間はみんなそう思っている」。(大野和興) 
 
「やろうか」ということになり、日ごろ親戚づきあいをしている各地の百姓グループや市民グループに声をかけ、「コメと野菜でつながる百姓と市民の会」を急きょ作りました。モノは百姓が、送料は町人が出すことにしました。 
 
併行して、野宿労働者や日雇い労働者、職を失った人、シングルマザー、高齢者といった方々と活動している仲間と連絡をとり、受け入れてもらえることになりました。ちいさなグループですので、送り先は三つに絞っています。困っている人にコメ5キロの緊急支援を始めた「一般社団法人あじいる」、野宿・日雇労働者の労働組合でほかの団体が炊き出しから撤退する中で、このままではコロナに感染する前に飢え死にしてしまうと弁当を作り配布している山谷日雇労組、野宿者一人一人と細やかに触れ合い、生活と心の支援をしている「きょうと夜まわりの会」、です。 
以下は私たちの趣意書です。 
 
《呼びかけ》コメと野菜でつながろう! 
       −コロナで飯が食えない人が増えているー 
 
 この世の矛盾が一挙にあふれ出したなあ、そんな思いを抱えながら春の田んぼ仕事が動き出しました。電話の向こうでくぐもった声が聞こえます。 
「米農家は安心だって思ってたんだよね。コメの売れ行きは悪くないし、引き合いもある。でも我が家のお米を買えるような人がいる一方で、今この瞬間に困ってお腹をすかせている人がいるという現実を想像したとき、なんとなく居心地が悪くて」 
コロナウイルスはこの社会を分断してしまいました。密室空間のネットカフェはコロナの巣になると、半ば強制的に閉鎖に追い込まれ、そこを生活の拠点にしていた大勢の人が路上に放り出されました。その路上にはすでに多くの先住者がいます。飲食店も閉じさせられ、そこでの余り物も出なくなった。仕事を失った人、シングルマザー、収入が途絶えた事業主やフリーランス、高齢者、社会の隅々に貧困と飢えが広がっています。 
福島で原発が破裂したとき、南相馬の詩人は「こちらがわとあちらがわ」と詠いました。放射能を浴びたものと浴びなかったもの、浴びた地と浴びなかった地。ウイルスは無差別に人にとりつきますが、打撃はもっぱら弱者に向かいます。社会に深い亀裂が入りました。その中で百姓としてできることは何か。 
自分らが作るコメや野菜は亀裂をつなぐ橋にならないか。小さな丸木橋でいいから。電話の向こうのつぶやきが聞こえます。人を助けるなんて大それたことは言いません。コメや野菜に人としての思いを込めたいのです。町に住む友人が「俺らも混ぜさせろ、送料をもたせろ」といいます。だから名称は「コメと野菜でつながる百姓と市民の会」です。百姓グループと市民グループが集まり、都市で炊き出しや困っている人に食べ物を届けている仲間にコメと野菜を送ります。 
コメなら一個口20キロ、野菜なら段ボール1箱、送料カンパは2000円とします。期間はとりあえず6月末まで。送り先は数か所にしぼります。身の丈に合ったささやかな、小さな動きで、大きくしようとは考えていません。ぜひ、一緒に! 
 
世話人 石井恒司(三里塚の百姓)市村忠文(農民新聞) 大野和興(農業記者) 笠原眞弓(国際有機農業映画祭運営委員会) 川崎吉巳(置賜百姓交流会) 菅野芳秀(置賜の百姓) 纐纈美千世(日本消費者連盟) 近藤康男(TPPに反対する人々の運動) 天明伸浩(上越有機農業研究会/日本国際ボランティアセンター)平野靖識(地球的課題の実験村) 西沢江美子(秩父雑穀自由学校) 松尾康範(アジア農民交流センター) 山下惣一(唐津の百姓) 吉岡照充(川崎の百姓) 
事務局  大野和興(事務局総括・送り先対応) 
     天明伸浩(コメ担当) 
     松尾康範(野菜担当) 
     近藤康男(会計担当) 
連絡先 
大野 korural@gmail.com 
天明 valley@valley.ne.jp 


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