2020年05月23日15時09分掲載
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教育
成績上位3割だけじゃなく、すべての留学生に手を差し伸べて 〜日本在住の欧米の知識人の意見〜
新型コロナウイルスで学業が続けられなくなり、退学を考えている大学生がかなりの数に上ると報じられました。日本政府は日本人の貧困学生に給付金を検討していますが、その一方で、外国人の留学生には成績が上位の3割だけに支援の手を差し伸べる、という報道がありました。このことに多くの反対の声が出ています。たとえばアルバイトに追われる貧しい留学生の場合、学業の時間が奪われ、上位3割に入ることは難しいかもしれません。この問題に、日本在住の欧米の知識人に意見を寄せていただき、それを翻訳いたしました。都合により、匿名にさせていただきます。
■成績上位3割だけじゃなく、すべての留学生に手を差し伸べて
新型コロナウイルス蔓延の原因が中国人の食習慣だけにあったわけではないことは知られていた事なんですが、日本のテレビでは繰り返し、繰り返し嫌気がさすまでに中国人の食習慣叩きを繰り返しています。それは間違いなく、アメリカのトランプ政権と同調するためで、トランプ大統領は中国に悪いレッテルを張って大きな利益を得ているのです。
新型コロナウイルスの原因には今日のグローバル化する世界があります。それは利益最大化によってますます広がり、絶え間なく不平等を拡大してきました。本当の危機は、この不平等の放置にこそ存在すると言えるでしょう。しかし、逆にあらゆるレベルにおいてそれがどこであれ、新型コロナウイルスの広がりは貧しい人々の責任にされています。
公権力はこの状況に手を差し伸べて欲しいと思います。そして、外国人の留学生については、とりわけ外国人の奨学生については、エリートだけに絞って支援するようなやり方で臨むのは限りなく残念です。それは連帯という価値にほとんど値しないやり方です。今、この連帯の精神こそが、本来はもっと大きくもなりえた惨事から人類を少しずつでも救っている価値なのです。
この危機の最中、学生たちには様々な状況があり、その違いの広がりに関心を寄せる必要があります。各自の意志を越えて、その状況次第で、学生の中には他の学生のようには学業を続けていくことができなくなる人たちが存在します。多くの場合、金銭的により貧しい学生たちです。
「運命共同体」(エドガール・モラン)のような連帯を、どの国民であれ、どの人種であれ、どのようなイデオロギーの持ち主であろうと等しく、もちろん階層に分断することなく、人類に広く当てはめて行くことを大切にしないことは悲しく、愚かなことだと思います。というのも、このような連帯によって私たちは健康の危機を乗り越えてきたのですし、またこれからも乗り越えることを可能にするであろうものだからです。今この連帯が飛躍する機会です。おそらくこの連帯が、この後に起こりうる危機をも乗り越えることを可能にすると思います。エイズが流行する前から、グローバル化する世界における私たちの運命だからです。
※留学生の現金給付は成績上位3割に限定(共同)
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