2020年05月25日20時51分掲載
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コラム
小池百合子さん、あなたは知事にふさわしくない。 澤藤統一郎(さわふじとういちろう):弁護士
お騒がせ検察官・黒川弘務の趣味は、「犬の散歩と麻雀とカジノ」だそうだ。「犬の散歩」は結構だが、「麻雀とカジノ」はいただけない。この人、休日にはマカオや韓国にカジノに出掛けることもあるとか。また、朝日新聞広報部の発表では、同社の社員が、緊急事態宣言が出た後に、黒川と計4回、金銭を賭けてマージャンをしていたことを認めたという。
朝日の社員とだけ、賭けマージャンをしていたわけでもあるまい。実はこの人の賭マージャンには常習性があるのではないか。また、この人、ギャンブル依存症というべきではないのか。
賭マージャンが、賭博にあたる犯罪行為であることは言うまでもない。現行刑法上単純賭博罪(185条)なら、法定刑は最高50万円の罰金だが、常習賭博罪(186条1項)となると最高刑は3年の懲役となる。「常習とは、犯行を反復する習癖の発現として犯罪」を言い、「賭博の常習者とは、反復して賭博行為をする習癖のある者」なのだから、この人は、常習として賭博行為をした者に当たるのではないか。さらには捜査の進展次第で、収賄罪にも該当しうる。到底訓告で済まされることではない。
今や地に落ちた検察の信頼を回復する方策としては、東京地検が被疑者黒川を、朝日・産経の記者とともに厳正に捜査し処罰することを措いてない。
また、「余人をもって換えがたい」として、黒川の違法な定年延長を強行したのは内閣である。内閣は、その責任をとらねばならない。口先だけの謝罪は、聞きたくもない。アベさん、もう、いいかげんにおやめなさい。
東京高検検事長という立場にある者にすらとりついて、職を棒に振らせるのがギャンブル依存症の恐ろしさである。そのことを印象強く教えられたその日に、東京都議会では、「カジノ反対 不採択」「都議会委陳情 都ファ自公など」という出来事。これはいったいどうしたことだ。本日(5月22日)の赤旗がこう伝えている。
東京都議会経済・港湾委員会は21日、カジノ誘致に向けた取り組みを行わないよう求める陳情を、都民ファーストの会、公明党、自民党などの反対多数で不採択にしました。陳情は「カジノいらない!東京連絡会」が提出していたもの。
共産党の、あぜ上三和子都議は、党都議団の請求で開示された文書で都が2018年度、委託調査会社に「IR(カジノを中核とする統合型リゾート)が2020大会(東京五輪)後の起爆剤の可能性」を持つ趣旨の記載を求めていたことが判明したと指摘。「IRをつくるかどうかで一番大事な都民の世論を調査したのか」とただすと、都港湾局の若林憲担当部長は「調査していない」と答えました。
あぜ上氏は、新型コロナウイルスの世界的感染拡大でカジノ業界が軒並み業績悪化し、最大手のカジノ運営会社も日本でのライセンス取得を断念したと強調。マスコミの世論調査でも6〜7割がカジノ誘致に反対していることを示し、人の不幸を土台に収益を上げるカジノ誘致はやめるよう求めました。
国内の誘致先として、最有力候補と目されながら、まだ公式には名乗りを上げていない東京都。実はひそかにカジノ誘致への動きを進めてきているというのが、都民の常識となっている。昨日の委員会審議でもその一端が現れている。「都知事選のあとに、カジノ誘致を表明するのではないか」との評判のとおりなのだ。小池百合子知事だけでなく、「都民ファーストの会、公明党、自民党など」が誘致賛成派なのだ。
黒川のような依存症患者や犯罪者を大量に作らなければカジノは産業として成り立たない。もともと、バクチ場とは、不幸な人を生み出し続けるビジネスモデルである。きっぱりと、「都民の幸福のためには、カジノは不要」と言いきる都知事でなくてはならない。
小池百合子さん、おなたじゃだめなんだ。
(2020年5月22日)
澤藤統一郎(さわふじとういちろう):弁護士
初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2020.5.22より許可を得て転載
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