2020年05月31日14時05分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=202005311405150

米国

ミネアポリスの警官による黒人の殺害、暴動 そしてバイデン大統領候補の声明

  今回のミネアポリスの警官による黒人容疑者の殺害とその後の暴動に関して、民主党の大統領候補者、ジョー・バイデン氏がどのような演説を行うか注目していました。というのも、このまま人種対立が激化していくと、トランプ大統領に投票する白人が増える可能性があるからでした。バイデン氏はこれについて次のように述べています。ツイッターでバイデン氏自らリンクを張り付けているので、以下のリンクを参照ください。 
https://medium.com/@JoeBiden/we-are-a-nation-furious-at-injustice-9dcffd81978f 
  私はかつてバーニー・サンダース候補を支持していたこともあって、バイデン氏にあまり良い評価を与えてきませんでしたが、このバイデン氏の声明自体は時節にかなったとても良いメッセージだと思いました。バイデン氏は怒りを露にする人々に、その思いは当然だと何度も書きながら、しかし、それが暴動になって様々な施設の破壊に転じてはいけないと語っています。 
 
 「And I also know that the only way to bear it is to turn all that anguish to purpose. So tonight, I ask all of America to join me - not in denying our pain or covering it over -but using it to compel our nation across this turbulent threshold into the next phase of progress, inclusion, and opportunity for our great democracy. We are a nation in pain, but we must not allow this pain to destroy us. We are a nation enraged, but we cannot allow our rage to consume us. We are a nation exhausted, but we will not allow our exhaustion to defeat us.」(Joe Biden ) 
 
  (しかし、私はそれを耐える唯一の道は、それらすべての苦悩を目標に変えることだということもまた知っています。ですから、今夜、アメリカの皆さんに私の側に参加してください、と呼びかけるのです。苦しみを否定したり、ごまかしたりするのではありません。この苦悩を活かし、波乱の入り口に立つこの国を、次の進歩、統合、より大きな民主主義の機会へとつなげようではありませんか。私たちは苦しみの中にあります。けれども、この苦しみが私たち自身を破壊することを許してはならないのです。私たちは怒りの中にあります。しかし、その怒りで私たちが消耗することがあってはならないのです。私たちは疲弊しています。しかし、この疲弊が私たちを打ち倒すことを許してはならないのです) 
 
   バイデン候補はCOVID-19(新型コロナウイルス)で最大の被害の出ている米国にあって、こつこつ運動を続けてきました。バイデン氏が黒いマスクをつけて歩いている写真が報じられています。今回のバイデン氏の声明は、ある意味で当たり前ではありますが、白人と黒人の対立、ということではなく、より大きな民主主義へ、より多様な人々を統合する民主主義へと呼びかけています。私もそれが唯一の解決策であると信じます。バイデン氏の声明から今回の感染症で疲弊が米国で相当に進んでいる事、さらにはその疲弊が立場の弱い人々により重くのしかかっているであろうことが推察されます。だからこそ、今、爆発寸前の不満や苦悩を、人種対立という形で発火させてしまえば本来ならCOVID-19の被害の政治責任が問われるべきトランプ陣営にとってはこれ以上ない再選のチャンスとなることが想像されるのです。そして、もしそうなれば結果的には怒れる人々は、自分で自分の首を絞めることにつながってしまう悪循環になりかねません。 
 
 
※黒人死亡事件めぐるデモが激化、25都市で夜間外出禁止令 米(CNN) 
https://www.cnn.co.jp/usa/35154588.html?ref=rss 
 
村上良太 
 
 
 
■白人警官による黒人の殺人、暴動と米大統領選 〜人種対立が深まると優位に立てる共和党〜 2012年夏の右翼の尖閣諸島上陸と自民党の復活を想起 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202005292101555 
■ミネアポリスで黒人が警察官に衆人環視の中、殺される 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202005291518325 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。