2020年06月07日14時11分掲載
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政治
東京都のペットの殺処分ゼロは本当か? 2016年の都知事選の公約は1つでも実現されたか
小池百合子知事の2016年の選挙公約の中で唯一、達成できたとされるペットの殺処分ゼロ。しかし、日経新聞は例外的に殺される犬猫がいることを記していた。日経新聞によると、「東京都は今年4月、18年度に殺処分ゼロを達成したと宣言した。衰弱がひどいなどの犬猫360匹を例外的に殺処分し、320匹を第三者へ譲ったという。多くが愛護団体で、都担当者は「非常に熱心で、欠かせない存在」と話す」
日経新聞には、衰弱したペット360匹は例外的に殺し、320匹を第三者に譲ったと記されている。殺した数の方が圧倒的に多くても「例外的」とうたっているのだ。実際に東京都の当該ウェブサイトをのぞいてみた。
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/04/05/03.html
「犬については平成28年度から3年連続、猫については平成30年度に初めて殺処分ゼロを達成しました。」
と記しているが、確かに次のような文言が付記されていた。
「※東京都では、動物福祉等の観点から行ったもの及び引取・収容後に死亡したものを除く 致死処分を「殺処分」と表現しています。」
「動物福祉等の観点から」東京都で殺したペット、および、収用後に死亡したペットが存在することを明記している。それでも、「殺処分ゼロ」をうたっているのである。東京都が努力していないと批判しているのではない。だが、「殺処分ゼロ」として公約実現とうたうのは不透明過ぎないだろうか。殺処分するかしないかの線引きについてはどうなのだろうか。「殺処分ゼロ」をうたうなら、その情報公開が必要だろう。例外的な殺処分が5匹や10匹じゃない、360匹なのだから。ただし、この360匹の中には都の施設で衰弱死などで死んだ犬や猫も含まれていることになる。
むしろ、このような実態を「殺処分ゼロ」と評する東京都に背筋が凍りつきさえする。つまり、この動物への政策はいったい何のためにあるのか(誰のための利益なのか)、そして、そのための人間の倫理とは何か、ということがここでは骨抜きにされているからだ。
※犬猫殺処分ゼロ目標、愛護団体に負担 劣悪環境飼育も(日経 2019年12月11日付の記事)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53206130R11C19A2CR0000/
武者小路龍児
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