2020年06月27日10時13分掲載
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検証・メディア
NHKが映らないテレビは受信料契約の義務なしという判決のインパクト
6月26日、東京地裁で画期的な判決が出された。NHKが受信できないようにフィルターがつけられたテレビを購入した人はNHKの受信料を支払う義務がないという判決だ。そりゃ当たり前だろう、と思う人は多いと思う。しかし実はその当たり前のことが今まではむしろ非常識とされていたのだ。NHK受信料はほとんど税金化しており、NHKが視聴できるワンセグ携帯を買った人はNHKの受信料を払わされてきたし、裁判でも受信料を支払う義務があることが最高裁の判決(※)でくだされた。見ていないのに持っているだけで受信料を払わされるなんて、と不満に思ってもどうしようもない。NHKを視聴する人が受信料を支払うのは仕方がないが、見ていない人が払うのはどう考えても疑問だ。
そのことを考えた時、前職のNHK経営委員長の石原進氏のことが思い出される。石原氏はクローズアップ現代+の報道に圧力をかけたNHK経営委員会のトップだった責任者だが、安倍政権とも距離の近い九州の経済人だったとされる。石原氏は原発推進派でもあった。石原氏のNHK経営委員時代に、そして経営委員長になってからも含めた任期3回、計9年間(任期 2010 - 2019)にNHKの報道は視聴者の信頼を失い、政権よりの放送局になり下がってしまった。かつてNHKの報道が国民から高い信頼を得ていたことを想うと胸が痛む。このNHKの報道の凋落と、ワンセグ携帯を含めたNHK受信料の徴収システムの徹底化は軌を一にしていたと思う。どんなに視聴者がその内容に不満を持とうと、NHKは受信料を徴収できるシステムを築いた、ということなのだ。視聴者はどんなにNHKの報道に疑問を感じ、番組を見なくなったとしてもワンセグ携帯を持っていれば、あるいは普通にTVを持っていれば受信料を払ってくれ、と地域の受信料担当者が訪ねてくる。この矛盾がピークになったのが最近のことである。NHKの放送のスクランブル化を提案する「NHKから国民を守る党」という政党までできて、国会議員を送り出すにまで至った。
NHKの報道が凋落し、そのブランド価値が転落したなら、経営者は責任を問われてもおかしくない。民間企業なら株価が下がり、企業存亡の危機に陥るところだ。ところがNHKはブランドの価値が劇的に下がっているにも限らず、資金調達だけはワンセグ受信料の支払い義務も含めて手堅くなっている。スポンサー離れで苦しむ民放に比べてNHKだけは圧倒的に資金が潤沢だ。見ない人からも受信料を徴収できる、ということは法外な利益となる。こうした異常なシステムを継続していればNHKはその異常さに慣れて、これが当たり前と思ってしまうだろう。それではいけないと思う。私は公共放送は必要だと思っているし、かつてのような信頼されるNHKに1日も早く戻って欲しいと思っている。今後、NHKが視聴できないTVや携帯がもっと出てくるかもしれない。その時になって慌てても遅い。NHKが受信料をみんなに払ってほしいと思っているなら、当然ながら信頼される放送局に戻ることが先決だ。NHKは今、軌道を正しておかないと必ず取り返しのつかない日が訪れるだろう。
※ワンセグ携帯にもNHK受信料の負担義務──最高裁が判決
見ていなくても、持っているだけで負担義務(engadget)
https://japanese.engadget.com/2019/03/13/nhk/
※ワンセグ携帯、NHK受信契約は「義務」 最高裁で確定
https://www.asahi.com/articles/ASM3F5RHCM3FUTIL02Z.html
※なぜNHKはネットで受信料を取ろうとするのか? 波紋広げる石原進経営委員長の発言
https://www.sankei.com/premium/news/160925/prm1609250018-n1.html
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