2020年06月30日11時04分掲載
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欧州
コロナウィルスに振り回された子どもたち〜チャオ!イタリア通信
イタリアのコロナウィルス感染状況も、5月後半からだいぶ落ち着いてきました。今も200人単位での新規感染者は出ていますが、半分以上はロンバルディア州です。州の間で論争はありましたが、6月4日からはイタリア全土で州をまたいで移動ができるようにもなりました。以前と変わったのは、マスクを着けるようになったことと、お店やバール、レストランなどあらゆるところで消毒液が置かれるようになったことです。
6月15日からは、ヨーロッパ圏内で移動が自由になり、徐々にフィレンツェに旅行者が見られるようになりました。昨日、フィレンツェに行った時は、観光名所であるフィレンツェの大聖堂の前に観光客の行列ができていたので、少しずつ以前の姿を取り戻しつつあるのかなと思いました。ただ、やはり2ヶ月のロックダウンは経済的な爪痕を残しています。同僚から、知り合いの人が解雇されたなどという話をちらほら聞きます。
また、6月12日から、観客はいませんが、サッカーの試合も始まりました。先日、イタリア杯で、サッカーチーム「ナポリ」が優勝するとナポリ市の広場に大勢のファンが集まり、優勝を祝っていました。それがニュースになり、「同盟」の代表サルヴィーニがテレビ番組でコロナウィルス感染の危険があると批判していました。ナポリ市のあるカンパニア州の知事が、6月2日に「同盟」が中道右派の政党と一緒に政府に反対する集会をローマで開いたことはどうなんだと反論していました。コロナ問題が少し落ち着いたら、また政党間のくだらない喧嘩が始まりました。
この間、経済的な問題も加わり、子どもがいる家族は本当に大変だったと思います。我が家も、てんやわんやでした。我が家のことを話すと、まず双子の幼稚園生が今年で幼稚園が最後になります。3月に入って幼稚園が休校になると、各クラスからコンピューターを通して課題が送られてきました。我が家の双子はクラスが別々なので、課題も別々です。幼稚園ですから、課題は絶対にやらなくてはいけないというものではなく、家にいる子どもたちに何か楽しいことで時間を過ごしてもらおう、ということが主旨になります。ただ、5歳、6歳の子どもが一人でできるものはなく、親が付き添い一緒に工作をしたり、絵を描いたりという課題なので、私のように家で仕事をしていると時間のやりくりが大変でした。子供ごとに別々の課題が出ていましたが、一方のクラスの課題を一緒にする機会を作ったりと、時間と手間を省くために工夫をしていました。
そして、5月に入ると、ビデオレッスンが始まりました。「ビデオレッスン」というと、テクノロジーが進んでいるような印象ですが、現実は全く違います。インターネットの接続が悪くて途中で映像や音声が途切れたり、一度に10人ぐらいの生徒と3、4人の先生が一緒にレッスンするので、音声が混じったりして、大混乱になる時もありました。娘のクラスはレッスンというよりも、先生が一人一人の生徒に「週末は何をしたのか」と質問して、それぞれが答えるという形式でした。娘は皆の前で話すのが苦手な性格で、また、コンピューターを前にして話すのを変に感じたのか、なかなか言葉が出ずに結局先生が他の生徒を指名し、1時間何もせずにただ座っていたということがありました。また、レッスンの時間も40分と言っていたものが、実際は1時間ほどもあり、5,6歳の子どもには苦痛ではないかと感じました。親もついていなければならず、何もせずに1時間いるのは、本当に拷問のようでした。その間は、仕事もできなくなってしまうので、心の中では早く終わってほしいと願うばかり。
小学3年生の息子を持つ私の知り合いのお母さんは、学校から大量の宿題が出たため、息子さんが朝の8時から夜の8時ごろまで勉強することもあったと言っていました。遊び盛りの小学生には、これまた拷問のようで、聞いただけでも涙が出そうになりました。イタリアの学校は大量に宿題が出るようで、今から私も戦々恐々としています。
ロックダウンが解除されたら解除されたで、また問題が噴出。親は仕事に行かなくてはいけなくなり、子どもはただ家にいるという事態になりました。それは、日本でも同じ状況かもしれませんが、イタリアでは6月上旬からの夏休みも加わり、長いと3ヶ月半そういう事態が続きます。
私は、3月、4月は仕事が少し減り、子どもの面倒を見ることもできましたが、5月、6月からは仕事が本格的に始まり、少しづつ忙しくなり出しました。子どもはビデオレッスンが始まり、また幼稚園は6月に終了で、最後の年のお別れ会の準備も家でしなくてはならないこともあり、5月、6月は幼稚園を開けてくれてもいいのではないかと感じました。1クラス23名から26名ほどなので、それを3グループに分けて2時間ぐらい登校してもいいのではないかと思いました。
せめてもの救いは、私の町の役所で3週間無料で児童館活動をしてくれたことです。私の町には、いわゆる児童館みたいなものはないのですが、幼稚園を開放して子どもを預かり、工作をしたり、ゲームをしたりして過ごしてくれました。子どもたちも久しぶりに同級生と会ったり、外で思い切り遊ぶことができ、大喜びでした。
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