2020年08月25日11時11分掲載  無料記事
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中東

UAE、イスラエルとの和平協定反対派を相次ぎ逮捕

 8月13日、イスラエルは突然、アラブ首長国連邦(UAE)との国交正常化を発表し、世界中で大きな波紋を呼んでいる。UAE国内では、イスラエルとの和平協定に反対する声が圧倒的多数を占めているが、当局は反対派市民らを相次いで逮捕しているとMIDDLE EAST MONITORは報じた。(藤ヶ谷魁) 
 
イスラエルがアラブ諸国と和平協定を結ぶのは26年ぶりで、エジプト、ヨルダンに続き、UAEで3カ国目となる。また、イスラエルのネタニヤフ首相は、今後もアラブ諸国との関係改善に取り組む考えを表明している。 
 
今回の国交正常化は、シーア派大国であるイランを牽制する「対イラン戦略」の一貫と見られており、スンニ派を信仰するアラブ諸国ではイスラエルとUAEの関係改善を肯定的に見ている人も少なくない。 
ただ、パレスチナ自治区併合を目指し、パレスチナ人虐殺を繰り返すイスラエル政府に反発する人々の間では、国交正常化に否定的な意見が目立つ。 
 
こうした中、MIDDLE EAST MONITORは人権団体筋の話として、UAE国家安全保障局は、私的な会合や自身のSNS上で、和平協定に反対意見を述べたUAE国民のほか、UAEに住むパレスチナ人、ヨルダン人の逮捕を秘密裏に進めていると報じた。国交正常化に反対する人々は、「国と国民の裏切り」、「政権の汚点」などと政権批判を繰り返している。 
 
ワシントン近東政策研究所が実施した世論調査では、UAE国民の80%がイスラエルとの関係改善に反対していることも明らかになっている。 
 
今回、イスラエルとUAEの仲介を担ったアメリカのトランプ大統領は、11月に大統領選挙を控えており、両国の国交正常化はトランプ支持者に向けた選挙戦略の一環とも言われている。 
また、トランプ大統領は、イスラエル・サウジアラビア両国の国交樹立にも前向きな姿勢を示しており、今後もトランプ大統領によるイスラエルを利用した中東戦略に注目が集まる。 
 
https://www.middleeastmonitor.com/20200817-uae-arrests-opponents-of-israel-peace-deal/ 


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