2020年09月01日21時48分掲載  無料記事
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コラム

ドキュメンタリーとマイクロペニス 5

  何度かこれまで、このシリーズでマイクロペニスであることがどういうことか自分なりに、書いてきました。自分の体、とくに生殖に関する部位に発育不全とか、異常などがあるとその人は男女を問わず、非常に孤独になりがちだろうと推測します。中には自殺を考える人もいるのではないかと思います。僕の場合も自殺を真剣に考えたことが人生に2度ありました、1度は20歳の時、2度目は40歳の時。20歳は人生の旅立ち、巣立ちの頃。40歳は働いて一通り仕事を経験して、これから後をどう発展させるか。いずれも自分とは何かというアイデンティティが大切な時期です。 
 
  著名な作家でも芥川龍之介であれ、太宰治であれ、三島由紀夫であれ、40歳前後に自殺している人が少なくありません。僕はこうしたグレートな作家と何の接点もありませんが、ただ僕が自殺を実行しなかった一番の理由は親を悲しませたくないという1点でした。この古典道徳的な考えが効力を有したのです。僕の実家で両親は兄弟を分け隔てなく、一生懸命育ててくれたのであり、それへの感謝の思いが僕の心の根底にあります。一番追い詰められた時に、そのことが胸に思い浮かぶのです。親より先に死んではいけない、とりわけ自殺してはいけない、と今も思っています。親とて意図的に何かをしたのではなく、複数の要因が複合されて結果的に、そうなったのでしょうから。 
 
  かなり前にアメリカの河のワニのペニスが極小になって生殖に困難な事態に追い込まれているというレポートをTVで見たことがあります。環境ホルモンと呼ばれる人工の科学物質がホルモンのような作用を生物に与えて生殖機能の発育を阻害すると報じられていました。自分の場合は何が原因かわからないのですが、環境ホルモンの問題は今後、問題を多数引き起こしてしまうかもしれません。新しい物質が次々と創り出されて環境に撒かれていくのは怖いことです。そうしたリスクにあふれた世界で、子供が困難を乗り越えるにあたって、家族の力が問われることにもなります。僕の場合は、その意味ではとても恵まれていました。親が暴力をふるったことも一度もないのです。 


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