2020年09月09日20時26分掲載  無料記事
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なぜ安倍首相は敵基地攻撃能力の保有にこだわるのか〜市民団体が官邸前で緊急抗議〜

 8月28日、安倍首相が体調不良を理由に退陣を表明し、7年8ヶ月も続いた長期政権にようやく終止符が打たれることとなった。ところが、9月5日、安倍首相が同16日の退陣前に、専守防衛を逸脱し、憲法9条を死文化させる「敵基地攻撃能力」の保有に関する談話を発表するとの報道が流れ、日本中に激震が走った。 
 
 こうした中、武器取引反対ネットワーク(NAJAT)は9月8日、首相官邸前(千代田区)でアピール行動(安倍首相の『敵基地攻撃能力』保有談話を許さない!9.8官邸前緊急抗議)を実施し、約50名の参加者とともに抗議の声を上げた。同行動には、立憲野党の国会議員も参加したところ、スピーチを行った共産党の宮本徹議員は、「日本が敵基地攻撃能力の道に踏み出したら周辺国から仮想敵国扱いされ、今よりも日本が攻撃されるリスクが高まる」と指摘し、敵基地攻撃能力は「百害あって一利なしだ」と訴えた。 
 
 日本体育大学で憲法学を教える清水雅彦氏は、「敵基地攻撃論は、日本国憲法第9条と国連憲章第51条の両方に違反する行為だ」と述べ、「今は国家の安全保障よりも人間の安全保障を考えるべきであり、コロナ対策にもっとお金を使うべきだ」と毎年膨れ上がる防衛費の削減を訴えた。 
 
 また、主催者でNAJATの杉原浩司代表は、敵基地攻撃能力に関する談話を発表する予定の安倍首相について、「そもそも(退陣を控える)安倍首相に政治的な発言をする権利はない。今すぐ国会を開くべきだ」と臨時国会の開会を要求するとともに、「敵基地攻撃能力は憲法違反だ」と敵基地攻撃能力の保有に強く反対する姿勢を示した。 
 
 政府は今後、「敵基地攻撃能力」の保有について、年内に「防衛計画の大綱」(防衛大綱)及び「中期防衛力整備計画」(中期防)、年明けに「国家安全保障戦略」の改定に着手すると言われている。この改定により、米軍と共同で敵基地に対する先制攻撃が可能になるようであれば、それは憲法9条が死文化することを意味する。政府には政治の都合ではなく、国民の目線に立った判断を求めたい。 


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