2020年10月13日15時56分掲載
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イスラエル/パレスチナ
イスラエル:情報相が米国のカタールへのF35売却に反対を表明
イスラエルのコーヘン情報相は同国軍のラジオ局で、カタールが米国に対してF35ステルス戦闘機の購入を要請したことについて問われた際、「中東地域における私たち(イスラエル)の安全と軍事的優位性は最も重要なことだ。私たちの地域はまだスイスのような中立国にはなっていない」と強調し、カタールへのF35の売却に反対の姿勢を示した。10月7日付の「MIDDLE EAST MONITOR」が報じた。
今回のカタールの要請は、今年8月、アラブ首長国連邦(UAE)とイスラエルが外交関係を改善することを記した「アブラハム合意」に続く副次的合意に基づいたもの。これらの合意は米国が仲介し実現したものであり、副次的合意には湾岸諸国が米国からのF35の購入を検討できることなどが記されている。
中東地域において、シーア派大国であるイランを敵視する米国はイラン包囲網の一環として、8,000人の米国軍人と国防総省の民間従業員が住むカタールや他の同盟国の軍事支援を行っている。
ただ、米国とイスラエルとの間には、イスラエルの中東地域における軍事優位性を約束した「質的軍事優位性」(QME)が確立されている。QMEによると、米国からイスラエルに提供された武器は、米国から他国に提供されたものよりも優れた性能を持つ必要があるとされる。そのため、カタールとのF35の取引は、QMEに抵触する可能性が高い。
実際にカタールにF35が配備されることになれば、中東地域において強大な軍事力を維持したいイスラエルやサウジアラビアにとっては大きな脅威となる可能性があり、米国と同盟関係にある両国の反発は免れない。
なお、F35の販売は、交渉から納品まで数年を要する可能性がある。ポーランド政府が昨年、F35を計32機購入することを決定したが、最初の納品予定が2024年であり、全機が配備されるまで相当な時間を要する見通しである。さらに、11月の大統領選で現職のトランプ大統領が敗れ、民主党政権に移行した場合、カタールとの取引が停止される可能性もある。
〈引用記事URL〉
https://www.middleeastmonitor.com/20201007-qatar-makes-formal-request-for-f-35-jets/
https://www.middleeastmonitor.com/20201011-israel-will-oppose-any-us-f-35-sale-to-qatar-israeli-minister-says/
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