2020年10月18日20時04分掲載
無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=202010182004010
米国
米国の失業率のグラフを見る リーマンショックよりも激震度は高かった
米大統領選の鍵を握る失業率の変動。実際に、どう推移してきたのか、米政府の労働統計のオフィシャルデータ(※ U.S. BUREAU OF LABOR STATISTICS)を見てみます。リーマンショックから翌年にかけて一度10%とピークになり、それがオバマ政権の誕生からずっと右肩下がりになっていました。トランプ政権もその傾向を踏襲して、今年1月に3.5%と記録的な低さを達成しました。しかし、その後、COVID-19の蔓延で、まるで垂直に駆け上るように失業率がうなぎ上りし、約15%まで上ります(※正確には今年4月に14.7%)。それがまたどっと下がっていますが、今(9月)はその中間地点の7・9%です。
このグラフを見て感じたのは、失業率がリーマンショックのあとよりもはるかに高いピークを作ったことです。この急激な変動は、相当劇的な心理状況を創り出していることは間違いありません。3月から4月にかけてが一気に10%も跳ね上がって14.7%になる、という最も失業率が高騰した時期です。そして、ミネアポリスで黒人が警官に白昼堂々と殺されたのは5月のことでした。そのあと、暴動が起き、デモが起き、米国が大きな揺れを経験しています。
この統計では黒人の人種別統計も見ることができます。黒人の失業率は常に平均よりも高い値です。そして、今年の失業率のピーク時に黒人に限っては4月に16.7%、5月に16・8%と平均よりもさらに2%近く高止まりしています。リーマンショックの時、真っ先に解雇されたのが黒人で、回復時に最後に雇用されたのも黒人である、という記事をニューヨークタイムズで読んだ記憶がありますが、今回も、黒人の暮らしを一層直撃していることがうかがえます。
失業率が米大統領選の投票までに持ち直せていないことはトランプ大統領には大きなダメージになっています。まだ7・9%と復興の途上なのです。
※上の米政府統計(失業率の推移)
https://www.bls.gov/charts/employment-situation/civilian-unemployment-rate.htm
Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。