2021年01月02日18時02分掲載
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久松健一著「本気で鍛えるフランス語 広げる中級編」 音源はどこへ??
以前、久松健一氏による「動詞宝典」(駿河台出版社)という動詞の活用をすべてのページにつけた動詞中心の参考書について絶賛する記事を書きました。フランス語を始めとして、イタリア語やスペイン語などの古代ローマ帝国から派生した言語は動詞の活用が言語習得に大きな重要性を持っています。しかしながら、第二外国語の一般教養の課程で学校教育で習得できる動詞が実際にはごく少数であるという理想と現実がありました。久松氏の参考書はその溝を埋めるものでした。
その久松氏が書き下ろした「本気で鍛えるフランス語 広げる中級編」(国際語学社)は昨年古書店で新品同然のものを購入して手に取って読んでいます。ドリル式になっていますが、骨子はやはり動詞に焦点が当てられており、472の動詞が解説されています。これはある意味では駿河台出版社の「動詞宝典308」と「動詞宝典 466」の姉妹編のようなところがあり、両者は出版社こそ違えど、補完的ですらあると思います。そして、「本気で鍛えるフランス語 広げる中級編」には「1000例文ダウンロード音声付き」という売りがあり、CDはついていませんが、音源がネットでダウンロード可能だと書かれています。ところが、アクセスしようとしても、そのページが見当たりません。ネットで検索していると、出版元の国際語学社が倒産したと複数の方々が嘆いて書いていました。国際語学社はたくさんの良質な語学書を出版したのに最近、倒産したというのです。詳しいことはわかりません。いずれにしても、国際語学社が運用していたらしい音声ダウンロードのプールにはたくさんの教材があったらしく、私のように古書として買った人間にとっては本の活用が半分しかできないことになり残念です。その音源、なんとかならないものでしょうか?久松氏の説明では、フランス語で読み上げた音声と、視覚を核にしたドリルを組み合わせることで大きな成果があがるはずだというのです。
久松健一氏のフランス語の参考書は、作家性が感じられます。大学人がアルバイトで出した参考書とは一線を画する何かがあるのです。徹底した実践重視の姿勢です。その意味では全集も出て欲しいくらいです。そういう宝なのですから、ぜひとも「本気で鍛えるフランス語 広げる中級編」に関しても、どこかの出版社が引き継いで出してほしいものです。
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