2021年01月09日17時01分掲載
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ドロテ・デュシ著「支配のゆりかご〜インセスト(近親相姦)の人類学〜」<Le berceau des dominations. Anthropologie de l'inceste> de Dorothée Dussy
昨年、インセスト(近親相姦)がフランスで大きな問題となっていることを知りましたが、それに火をつけたのが今月話題になっている政治学者の家庭内でのインセストでした。この場合、血のつながりだけでなく、義理の親が義理の子供と性的行為を行うケースも含まれています。30年後に義理の親たちの行状をつづった暴露本とされる「La familia grande」(大きな家族)は、単に暴露だけでなく、インセスト(近親相姦)がどのような構造になっているかを家庭内で見つめたとされますが、雑誌では人類学者がインセストについて研究した本も紹介されています。
ドロテ・デュシという人類学者が書いた「支配のゆりかご〜インセストの人類学〜」<Le berceau des dominations. Anthropologie de l'inceste>で、全3冊に及びます。子供の頃、親からインセスト行為をされたという人々に大人になって調査に協力してもらった事例などをもとに書いたとされます。本書が興味を引くのは、人類学者だからといって遠く離れた密林や秘境で自分たちと離れた人々の事例を分析したものではなくて、まさに現代フランスの生の現実にメスを入れているであろうことです。筆者は未読なので、記載したことはアマゾンなどの紹介欄を参照したに過ぎませんが、この本はヌーヴェル・オプセルバトゥール誌で紹介されたばかりです。2013年に初版が出たそうですが、新たに出版されるとのこと。著者はCNRSというフランスの国立研究機関に所属する人類学者です。
あるアンケートでは10人に1人がインセストにあっているという記事もあり、これが本当なら、フランスでインセストは大きな問題になっていることになります。
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