2021年01月16日13時09分掲載  無料記事
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農と食

ニュージーランド、ブラジルと世界各地でハチミツからグリホサホートを検出

 昨年11月にグリホサートが検出されたニュージーランド産ハチミツから、今年に入り再度の検出が見つかったと厚労省が明かにした。全量廃棄、積戻しの措置が取られた。またブラジルでは、12月17日、ブラジル南東部のグリホサートを使用する農業地域の蜂蜜を分析し、約4割からグリホサートと検出したとブラジルのカンピーナス大学の研究グループが発表した。(有機農業ニュースクリップ) 
 
 
■NZ産ハチミツからグリホサート検出 昨年11月に続き2度目 
 
 厚労省は1月8日付けで、ニュージーランド産ハチミツから一律基準値を超えるグリホサート0.08ppmを検出し全量廃棄・積戻しを指示と公表した。ニュージーランド産ハチミツからの一律基準値を超えるグリホサートの検出は昨年11月に続くもので、今年度2度目となる。ニュージーランドのハチミツの残留基準値は0.1ppmで、同国内であれば問題なしとされるレベルである。 
 
 厚労省は1月8日、ニュージーランド産ハチミツに対して検査命令を実施すると発表した。発表で参考として添付されたニュージーランド産ハチミツの輸入実績は2019年度に769トン、20年度に1197トンだったとしている。しかし、19年度の検査実績はゼロであり、ニュージーランド政府の調査結果を考慮すれば、これまでにも日本の残留基準値を超えるハチミツが輸入されていた可能性がある。20年度は57件で、昨年11月に一律基準値(0.01ppm)を超えるものが見つかり、検査を厳しくしているのではないか。 
 
 ・厚労省 
  違反事例速報(令和2年度) 
  https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/yunyu_kanshi/ihan/index.html 
 
 ・厚労省, 2021-1-8 
  輸入食品に対する検査命令の実施 (ニュージーランド産はちみつ、その加工品) 
  https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15942.html 
 
 ニュージーランド第一次産業省は昨年2月、同国産のハチミツの約2割からグリホサートを検出したと発表している。日本産のハチミツに関しては、農民連食品分析センターが昨年8月、検査依頼品のハチミツ1検体からグリホサートの痕跡(定量限界の0.01ppm以下)を検出したと発表している。 
 
 ハチミツの残留グリホサートについては、ブラジルのカンピーナス大学の研究グループが昨年12月、ブラジル南東部のグリホサートを使用する農業地域の蜂蜜を分析し、約4割から平均0.07ppmのグリホサートとその代謝物質AMPAを検出したと発表している。最大値は百花蜜から検出された0.22ppmだったとしている。 
 
 ハチミツの農薬汚染は、採蜜地での農薬使用の影響を受けたものであり、養蜂家には「もらい事故」のようなものともいえる。日本では、ハチミツのグリホサートの残留基準値は設定されていないため、一律基準値の0.01ppmが適用される。 
 
【関連記事】 
 ・NZ ハチミツの2割からグリホサートを検出 
  http://organic-newsclip.info/log/2020/20071048-1.html 
 ・国産ハチミツからグリホサートの痕跡を検出 
  http://organic-newsclip.info/log/2020/20081058-1.html 
 
 
■農業地域のブラジル産ハチミツに残留グリホサート 
 
 ブラジルのカンピーナス大学の研究グループは12月17日、ブラジル南東部のグリホサートを使用する農業地域の蜂蜜を分析し、約4割からグリホサートとその代謝物質AMPAを検出したと発表した。 
 
 検出された最大値は百花蜜の0.22ppmで、平均値は0.07ppmであったとしている。また、約2割がEUの残留基準値0.05ppmを超えていたとしている。サンプルのハチミツの採取地周辺が除草剤耐性遺伝子組み換え作物の栽培地域であるかは、論文には明記されておらず不明である。 
 
 周辺でグリホサートが使用されていないリオグランデ・ド・スル州カンバラドスルの原生林の近くの養蜂場のハチミツからはグリホサートもAMPAは検出されず、痕跡を示すピークはなかったという。 
 
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              残留レベル ppm   EU残留基準値 
       n LOQ以上 平均  範囲     以上 
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百花蜜   29  12(41%)  0.07 オレンジ 6 1(16%) 0.04 0.04 - 
ユーカリ 5 2(40%) 0.04 0.04 - 
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合 計 40 15(38%) 0.07 0.04 - 0.22 6(21%) 
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 ・Food Additives & Contaminants, 2020-12-17 
  Glyphosate and aminomethylphosphonic acid (AMPA) residues in Brazilian honey 
  https://www.researchgate.net/publication/347436245_Glyphosate_and_aminomethylphosphonic_acid_AMPA_residues_in_Brazilian_honey 
 
 
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