2021年02月04日04時33分掲載
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岩波ジュニア新書「天文学入門 星・銀河とわたしたち」
今年の正月に何冊か、科学入門や高校の数学のやり直し用の本を読んだことを以前、書きましたが、岩波ジュニア新書「天文学入門 星・銀河とわたしたち」(嶺重慎・有本淳一編著)もその1冊です。この本もまた私に衝撃を与えたのでした。まずは、天文学がこんなにワクワクする面白いものだったことを痛感させられたことと、その理由として、2つ挙げられることです。まずは、生命の起源が天文学と結びつけられていることで、生命の起源だけでなく、霊長類の進化の歩み、大気組成の変化、元素の周期表とその起源についても触れられています。つまり、物理から化学、生物学などのサイエンスが総合される形になっています。そして、もう1つの面白さは、大量の天文写真がカラーで掲載されていたことです。読んでいると、天文観測台に行きたくなるはずです。
20年くらい前に「科学教育の危機」が盛んに報じられていたものですが、今、科学の入門書を見ると、驚くほど面白くなっています。編著者たちは2005年のあとがきで、小中学校の理科の教科書を手にすると、天文学の部分は全然面白くないことに危機感を覚えたと記しています。
「単に星の運動ではなく、単に美しい画像ではなく、わたしたちとのつながりをもって宇宙をとらえ学ぶこと、その大切さと興奮を十分に味わってほしい」
その思いは見事に形になっています。今、地球が迎えている異常気象や環境の危機についても、政治や経済のイシューである以前に、まず科学的にどういう事態なのかを理解することが先決ではないかと私は思っています。そのためにも、化学や天文学、あるいは生物学などの知識が今後、大きく役立ってくるでしょう。そういうことがわからない政治家は存在意義を失っていくと思います。本書はジュニア新書と書かれていますが、内容的には大人が読んでも十分の内容です。
■「人新世とは何か <地球と人類の時代>の思想史」(クリストフ・ボヌイユ&ジャン=バティスト・フレソズ)
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