2021年04月17日14時37分掲載
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入管法改正案が衆議院で審議入り 立憲野党や市民はその問題点を指摘
4月16日、かねてよりその問題点が指摘されてきた出入国管理法の改正案が衆議院本会議で審議入りした。本会議で、上川陽子法務大臣は改正の目的を「送還忌避者の迅速な送還と長期収容の改善」と説明しつつ、法案の要点として
「在留特別許可に至る事情の明示」
「一定の要件における送還忌避者への罰則の創設」
「難民認定手続中における送還停止効の例外措置の創設」
「退去強制に速やかに応じた場合における日本への再上陸期間の短縮」
「収容代替措置としての監理措置制度の創設」
「収容施設内の被収容者の処遇について、保険衛生や医療等の事項を明確化」
「難民にあたらない者を難民に準じて保護する補完的保護制度に関する規定の整備」
などを挙げた。
これについては、立憲民主党の屋良朝博衆院議員より早速質問が投げかけられる。今回の入管法改正案について、国連人権理事会が「国際人権法違反」とする書簡を日本政府に送っている状況や、国連難民高等弁務官事務所が「重大な懸念がある」との見解を示していることに触れ、国際社会からのこれらの指摘に対する政府の姿勢を問うた。また、日本共産党の藤野保史衆院議員は、「本法案は出入国在留管理庁の裁量拡大と厳罰化を進めるもので、国際基準から逆行する」と指摘。人権侵害が横行している入管制度の根本的な改革を求めた。
今月13日に行われた日本弁護士連合会(日弁連)主催のオンラインシンポジウムでも、法案の様々な問題点が挙がる。日弁連の岩崎淳司副会長は、「監理措置制度は、本来収容を防ぐために存在する監理人に対し、収容の引き金を引くような申告義務を課すという矛盾が生じている」とし、制度の在り方そのものに疑問を呈している。また、同シンポジウムに参加をした立憲民主党の石橋通宏参院議員は、「政府の法案は、中身を知れば知るほど、改善どころか改悪としか思えない内容となっている」と政府の案を問題視。立憲野党による共同提出法案の法制化を求めた。
このような輪は、若年層にも。今月14日に外国人支援に携わるNPO法人POSSEが、オンラインで集めた4万筆以上の署名を入管庁職員に手渡した際には、同団体所属の学生らから「難民を犯罪者にするな」「入管法改悪反対」との声が揃って上がった。主催者の男性は「若い世代が、外国人の人権をさらに剥奪するような入管法の改悪に反対している。これを声として届けたい」と説明。その機運の高まりを語った。
多くの市民から反対の声が上がる入管法改正案。国会で今後どのように審議されていくのか。少なくとも、世論を無視して、政府与党が数の力だけで強行採決するような事態だけはあってはならない。その行く末に注目が集まる。
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