2021年05月31日15時09分掲載
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アジア
日本ミャンマー協会会長渡邉秀央氏より、本紙掲載記事に対し「撤回及び謝罪請求書」
本紙4月16日付け記事「クーデター直前にスーチー氏と国軍トップと会見した日本のODAビジネスの黒幕 狙いは何か?」について、一般社団法人日本ミャンマー協会会長渡邉秀央氏より、5月18日付け文書「記事撤回及び謝罪請求書」をいただきました。当該記事は「事実に反する」とのご指摘に基づくご請求です。本紙編集委員会は掲載記事に関する意見を表明し、反論を述べる権利は最大限に尊重する方針を掲げております。その方針に基づき、以下、渡邉氏よりのご請求の全文を掲載いたします。渡邉氏の本紙記事へのご反論に対する本紙編集委員会及び執筆者の見解は別記事にて掲載いたします。(日刊ベリタ編集長 大野和興)
ーー以下、日本ミャンマー協会会長渡邉秀央氏よりの「記事撤回及び謝罪請求書」全文
2021(令和3)年5月18日
株式会社ベリタ
代表者代表取締役 大野 和興 殿
株式会社ベリタ気付
永井 浩 殿
請求人一般社団法人日本ミャンマー協会会長
渡邉 秀央
記事撤回及び謝罪請求書
冠省 請求人一般社団法人日本ミャンマー協会会長こと渡邉秀央は、御社株式会社ベリタ殿及び執筆者永井浩殿に対し、御社発行の日刊ベリタ2021年4月16日掲載記事「クーデター直前にスーチー氏と国軍トップと会見した日本のODAビジネスの黒幕 狙いは何か?」(以下「本件記事」といいます。)にかかる事実に反する記事の撤回及び請求人に対する謝罪を請求します
御社は、本件記事において、「協会の渡邊(ママ)秀央会長は、日本のODA(政府開発援助)ビジネスの黒幕とみられている」と記載していますが、請求人は、日本のODAビジネスの黒幕ではありません。
2021年1月18日に、請求人が「スーチー氏とは今回初めて」会った、また請求人が「スーチー氏に好感を抱いていないとみられていた」というのも事実に反します。「この会談(スーチー氏と請求人との会談)が注目されたもうひとつの理由は、それから間もなく国内では国軍がクーデターを起こすのではないかという噂が飛び交うようになった」との記述も、上記「黒幕」との記述と合わせて、請求人が国軍のクーデターによる政権奪取にかかわっているかの印象を与えるものであって、事実に反し、公正な論評とはいえません。
請求人とミャンマーとの出会いについても、請求人が「中曽根内閣の官房副長官としてネーウィン政権(後)のマウンマウン首相と軍人たちを日本に招いた」との記述も、事実に反します。請求人が官房副長官として、マウンマウン首相を招いた事実はなく、また、「軍人たち」を招いた事実もありません。
軍政時代の経済発展の立ち遅れを克服するためにテインセイン大統領が、米国、EU、中国ではなく日本に白羽の矢を立て請求人に対しティワラの経済特区の開発の話を持ちかけてきて、これに対し、請求人が「大統領の提案を前向きに検討することを約束し」、「少なくとも180億ドルの援助と投資、それに約50億ドル(5000億円相当)の債務帳消しの保証を政府と民間機関から取りつけた」との記述についても、あたかも請求人が個人で行ったような内容になっていますが、これも事実に反します。日本政府と外務省が、テインセイン大統領の要請を受けてミャンマーに対する経済支援を主導してきました。ロイター記事を引用した「黒幕による個人外交」というのも、事実に反します。
日本ミャンマー協会の会員各社は同協会をつうじてミャンマー側とのODAビジネスの便宜を図ってもらい」、「その差配人である会長・理事長の渡邊(ママ)氏には頭が上がらない」という記記述も事実に反します。
また、「日本の公的資金が投入されたプロジェクトの利潤が国軍系の企業に流れていることがはっきりしてきた」とし、「そのODAビジネスの巣窟とも見れる日本ミャンマー協会」と記していますが、この記述も、請求人が巣窟(悪者などのかくれが一『広辞苑第七版』)の主であるかのような印象を与えるものであって、事実に反し、公正な論評とはいえません。
そして、具体的に、「国軍関係筋の情報によると、クーデターの前々夜、ミアンウンクライン総司令官の側近との会合で、渡邊(ママ)氏は総司令官に次の伝言を側近に託したという。/渡邉(ママ)「民主化を後戻りさせないようにしてほしい」/総司令官の側近はこれに返事はせず、ニヤッとしただけだった」との記述も、日時、出席者、内容すべて事実に反します。
さらに、本件記事は、「渡邊(ママ)氏の帰国前日の2月18日、「良き友人の日本人はなぜ黙っているのか?」と問いかける投稿がフェイスブックにあった」とし、「渡辺(ママ)という人物は「ミンダマ」という場所の軍所有敷地20エーカー(約8万平方メートル)の利権を得ている」、「政界を退いたと言っても日本の政界と政府に対してある程度の影響力を持つ人々が(軍の)総司令官を守っているから、日本が沈黙を貫いている」、「氏は民主化勢力を支持していたのではない。NLD政権であれ軍政であれ、日本のビジネスにとって安定した投資環境を保障してくれる政権ならどちらでも歓迎なのである。つまり、勝ち馬に乗ることが最優先課題なのである。だから、総選挙後に情勢がふたたび険悪化しはじめた時期にミャンマーをおとずれ、両勢力のトップに顔つなぎをすることで、形成がどちらに転んでも対応できるような布石を打った」との記述も、事実に反します。
以上、本件記事は、事実に反し、また公正な論評ともいえませんので、御社及び執筆者におかれては、本件記事を撤回し、請求人に対し、謝罪することを請求します。
請求人は、一般社団法人日本ミャンマー協会の会長として、これまで、私利私欲、権力欲の中からの発想ではなく、真に日本とミャンマー両国の今後100年の大計と将来のため、その絆がアジアの平和と繁栄に欠くことができない要件であることを確実視して、自信と責任を持って、両国のため、様々な活動に邁進してまいりました。本件記事は、同協会と請求人のこれまでの活動を否定するものとして、明らかに請求人の名誉を毀損しています。
なお、本書到達後1週間以内にこれらの請求が認められなければ、法的措置をとらざるをえませんので、念のため、申し添えます。
以上
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