2021年07月16日14時23分掲載  無料記事
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国際

日韓市民団体が明治産業革命遺産に対するユネスコ世界遺産委員会の勧告を支持する声明を発表

2015年にユネスコの世界遺産リストに登録された明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業。ユネスコ世界遺産委員会は、この世界遺産について朝鮮人ら強制労働の事実などの「歴史全体」を解釈できるようにすべきと日本政府に勧告し、日本政府もこれを約束してたが、この約束がまったく履行されていないことに対し、第44回世界遺産委員会で改めて「強い遺憾」を表明する勧告文が公開された。 
これを受け、民族問題研究所(韓国)や強制動員真相究明ネットワーク(日本)など、日韓の市民市民5団体は7月14日、この勧告を支持する共同声明を発表している。 
 
【共同声明】明治産業革命遺産に対するユネスコ世界遺産委員会の勧告を支持します 
 
ユネスコ世界遺産委員会は、第44回世界遺産委員会に当たって「明治日本の産業革命遺 産 製鉄·鉄鋼、造船、石炭産業」(以下「明治産業革命遺産」)において日本政府が世界遺 産委員会の決定(39 COM 8B.14 & 42 COM 7B.10)を履行していないことに対して「強い遺憾」を表明する勧告文を公開しました。 
第2次世界大戦当時、日本によって行われた朝鮮人、中国人、連合軍捕虜などに対する強 制労働の真実を明らかにするために取り組んできた私たち日本と韓国の市民は世界遺産 委員会が公開した勧告を支持し歓迎の意を表します。更に第44回世界遺産委員会がこの 勧告を採択することを希望します。 
去る2015年、第39回世界遺産委員会は明治産業革命遺産において多数の朝鮮人や他の 人びとが強制労働に従事された事実など「歴史全体」を理解できる解釈戦略を講じるように 日本政府に勧告しました(39.COM/8B.14)。 
これに対して日本政府はユネスコ世界遺産委員会の勧告を忠実に履行することを全世界 に約束しました(39.COM/INF.19)。しかし、それから6年が経過して、いまだ日本政府がこの 約束を守っていないことに対して私たちは強い憤りを覚えます。 
私たちは、2015年以後、明治産業革命遺産に対する数回の現地調査を通じて日本政府が 世界遺産委員会の勧告を履行していないことを確認しました。 
また、2020年6月に東京で一般公開された産業遺産情報センターの展示が世界遺産委員 会の勧告に従っていないことはもちろん強制労働の歴史的事実を否定しているという点も 確認しました。 
これは、第2次世界大戦中、明治産業革命遺産のサイトにおいて語りきれない苦痛にあった 強制労働被害者を侮辱する行為です。また世界市民の知的、精神的連帯を進めることによって平和を求めていくというユネスコの精神にも反することであり私たちは深く憂慮するもの です。 
私たちは、日本政府に向けて世界遺産委員会の勧告に従い産業遺産情報センターや各サ イトにおいて強制動員·強制労働の歴史を展示すること、犠牲者を追悼するための適切な措 置を講じること、そして関連当事者との対話を継続することなどを求め続けてきました。 
産業遺産情報センターに対するユネスコ-イコモス共同調査団の報告書や報告書の結論を 忠実に反映した世界遺産委員会の勧告文は、私たちの切実な意見が正確に反映されてい ます。私たちは今回の報告書に深い感謝の意を示すとともに共同調査団の活動に敬意を 表します。 
私たちは、改めて第44回世界遺産委員会が日本政府に勧告した内容を強く支持しこの勧 告が採択され忠実に履行されることを切実に願います。 
私たちは、世界各国の人々が明治産業革命遺産を訪れ強制動員·強制労働の歴史を記憶 し犠牲者の苦痛に共感することによって人権を考えともに平和をつくっていく糸口を見つけ ていくことを願います。そして明治産業革命遺産がユネスコの精神を実現する人類全体の 大切な遺産として生まれ変わることを望みます。 
 
2021年7月14日 
 
<韓国> 民族問題研究所/植民地歴史博物館/太平洋戦争被害者補償推進協議会 
<日本> 強制動員真相究明ネットワーク/強制動員問題解決と過去清算のための共同行動 


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