2021年11月02日15時32分掲載  無料記事
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政治

野党共闘は敗れたとの報道をどう見るか 日本共産党の植木俊雄広報部長に聞く

 10月31日の総選挙で、自民党は大きく議員数を減らすのではないか、と見られていたが、ふたを開けてみると減少は15議席のみ。新聞などの予想より、かなり少なかった。一方、議員数を伸ばすと見られていた立憲民主党は逆に13議席減らす結果となった。さらに日本共産党も2議席減少したため、野党共闘は敗北した、との見方を伝えるメディアの総括も出ている。 
 
 そこで以前、野党共闘について以前、インタビューさせて頂いた日本共産党広報部長の植木俊雄さんに、選挙結果をどう見ているのか、個人的な考えをお聞きしました。 
 
 植木氏「立憲民主党、れいわ新選組、社民党との間で市民連合を介して結んだ政策合意〜新しい政権をつくる、与党になった場合は日本共産党は閣外協力をする、(289の小選挙区のうち)255の選挙区で統一候補を擁立する、などこれらの合意の持つ意味は非常に大きかったと思います。戦後史の中で日本共産党がこうした方向に向かったことは画期的なことだったと思います。 
 
  今回の選挙は政権選択の選挙であり、自公か、新政権かということが争点になりました。選挙戦で手ごたえは感じたのですが、政策合意の20項目の内容が〜新自由主義に代わる経済政策や命、ジェンダー、安全保障をめぐるものなど、画期的なものであったのに〜残念ながら、これら合意の中身を十分に有権者に届けきれなかったと思っています。有権者の中には政治を変えて欲しい、という気持ちがあったのですが、合意事項を十分に伝えきれなかったのです。それが維新が議席を4倍に伸ばす、ということにつながったのだと思います。 
 
  貧困対策や格差の是正、気候温暖化対策などは野党が共闘しなければ変えることはできないものです。都心部を中心に、たとえ敗れたとしても野党統一候補はかなり肉薄していたのも確かです。ですから、野党共闘の一定の成果はあったと私は思っています。この野党共闘の路線はさらに推し進めるべきなのです。『責任を取れ』とか、『野党共闘は敗れた』という一部メディアの報道もありますが、私は逆に野党共闘を進めるしかないと考えています。 
 
  また日本共産党について言えば、2議席減少したことは、4年前と比べて力不足であったと思っています。社会主義や共産主義に対して共鳴をする若者も増えてきています。しかし、訴えかける層の『幅』が不足していたと思っています」 
 
 
 
 
※野党共闘の政策合意(市民連合のサイトより) 
  https://shiminrengo.com/wp/wp-content/uploads/2021/09/c60e8e40b9bc4435856d3721bbd7b806.pdf 
 
衆議院総選挙における野党共通政策の提言 
――― 命を守るために政治の転換を――― 
 
 
 新型コロナウイルスの感染の急拡大の中で、自公政権の統治能力の喪失は明らかとなっている。政策の破綻は、安倍、菅政権の9年間で情報を隠蔽し、理性的な対話を拒絶してきたことの帰結である。この秋に行われる衆議院総選挙で野党協力を広げ、自公政権を倒し、新しい政治を実現することは、日本の世の中に道理と正義を回復するとともに、市民の命を守るために不可欠である。 
 
 市民連合は、野党各党に次の諸政策を共有して戦い、下記の政策を実行する政権の実現をめざすことを求める。 
 
 
1 憲法に基づく政治の回復 
 
・安保法制、特定秘密保護法、共謀罪法などの法律の違憲部分を廃止し、コロナ禍に乗じた憲法改悪に反対する。 
 
・平和憲法の精神に基づき、総合的な安全保障の手段を追求し、アジアにおける平和の創出のためにあらゆる外交努力を行う。 
 
・核兵器禁止条約の批准をめざし、まずは締約国会議へのオブザーバー参加に向け努力する。 
 
・地元合意もなく、環境を破壊する沖縄辺野古での新基地建設を中止する。 
 
 
 
2 科学的知見に基づく新型コロナウイルス対策の強化 
 
・従来の医療費削減政策を転換し、医療・公衆衛生の整備を迅速に進める。 
 
・医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーの待遇改善を急ぐ。 
 
・コロナ禍による倒産、失業などの打撃を受けた人や企業を救うため、万全の財政支援を行う。 
 
 
 
3 格差と貧困を是正する 
 
・最低賃金の引き上げや非正規雇用・フリーランスの処遇改善により、ワーキングプアをなくす。 
 
・誰もが人間らしい生活を送れるよう、住宅、教育、医療、保育、介護について公的支援を拡充し、子育て世代や若者への社会的投資の充実を図る。 
 
・所得、法人、資産の税制、および社会保険料負担を見直し、消費税減税を行い、富裕層の負担を強化するなど公平な税制を実現し、また低所得層や中間層への再分配を強化する。 
 
 
 
4 地球環境を守るエネルギー転換と地域分散型経済システムへの移行 
 
・再生可能エネルギーの拡充により、石炭火力から脱却し、原発のない脱炭素社会を追求する。 
 
・エネルギー転換を軸としたイノベーションと地域における新たな産業を育成する。 
 
・自然災害から命とくらしを守る政治の実現。 
 
・農林水産業への支援を強め、食料安全保障を確保する。 
 
 
 
5 ジェンダー視点に基づいた自由で公平な社会の実現 
 
・ジェンダー、人種、年齢、障がいなどによる差別を許さないために選択的夫婦別姓制度やLGBT平等法などを成立させるとともに、女性に対する性暴力根絶に向けた法整備を進める。 
 
・ジェンダー平等をめざす視点から家族制度、雇用制度などに関する法律を見直すとともに、保育、教育、介護などの対人サービスへの公的支援を拡充する。 
 
・政治をはじめとした意思決定の場における女性の過少代表を解消するため、議員間男女同数化(パリテ)を推進する。 
 
 
 
6 権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現する 
 
・森友・加計問題、桜を見る会疑惑など、安倍、菅政権の下で起きた権力私物化の疑惑について、真相究明を行う。 
 
・日本学術会議の会員を同会議の推薦通りに任命する。 
 
・内閣人事局のあり方を見直し、公正な公務員人事を確立する。 
 
 
 
■野党共闘を考える 共産党幹部・植木俊雄氏に聞く 共産党はどのように共闘を決め、どのように進めてきたのか その1 
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