2021年11月03日09時25分掲載  無料記事
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欧州

ワクチンパスポート導入の影響と地方選挙、地中海版台風の出現〜チャオ!イタリア通信 サトウノリコ

 イタリアは政府が10月15日から仕事場にワクチンパスポートを導入し、その政策に反対する集会が毎週のように各地で行われています。10月10日に、ローマのポポロ広場で1万人規模の反対集会が開かれましたが、その中にはネオファシストのグループもいて、その一部と思われる者たちがイタリア労働総同盟(労働組合の一つ)の本部に乱入しました。 
 
 また、北イタリアの都市トリエステでは、港湾労働者たちがワクチンパスポートの導入を取り消すようにと、政府に訴える集会が行われています。これらの労働者たちが、外国から港に入ってくる物資を配送ストップするようなニュースがありましたが、彼らは集会をするだけで物資の配送ストップという事態にまでは至っていません。私が仕事をしているフィレンツェでも中心地の広場で集会が開かれているのを見ました。参加者たちは「自由、自由」と叫んでいました。 
 
 現在、イタリアはワクチンパスポート導入の議論が毎日続いています。テレビの討論番組では、ワクチンパスポート賛成派と反対派の人たちが出演し、それぞれの意見を述べています。反対派の人はワクチンパスポートは憲法に違反すると言っている人もいます。それに対抗して、憲法論の教授は憲法は国民の健康を守るという記述があるので、ワクチンパスポートは憲法に違反しないと発言していました。ワクチンパスポート導入でワクチン接種が進んだことは事実です。私の友人もワクチンはするつもりなかったけど、ワクチンパスポート導入で仕方なく接種したという人がいます。現在は、新しいコロナウィルス株の出現で、感染者と死亡者が再び増えているため、まずは持病のある人たちへの3回目のワクチン接種も行われます。私の義理の母は膠原病を持っているため、その枠に当てはまるので近々3回目のワクチン接種をします。 
 
 10月4日と5日にかけて行われた地方選挙では、ローマを筆頭にミラノ、ナポリ、ボローニャ、トリノと言った大都市での市長選が行われ、左派勢力の勝利で終わりました。ボローニャとローマとトリノは民主党の市長、ナポリは民主党と五つ星運動が推す候補者が当選し、ミラノは左派政党の候補者が当選しました。この選挙で印象的だったのは、投票率の低さです。イタリアでは、投票は日曜日と月曜日の午前にかけて行われますが、どの都市も約50%の投票率で盛り上がりに欠けていました。コロナウィルスのためでもあるでしょうが、ローマで五つ星運動の市長が当選した時のような盛り上がりはなく、「同盟」も「五つ星運動」も以前のような勢いは全く見られませんでした。ここイタリアでも政治離れが進んでるのか、私としては「五つ星運動」への期待が大きかった分、その反動で政治離れが起きているのかとも考えられます。「同盟」にしても「五つ星運動」にしても、今までの古い政党とは違った何か新しいことをしてくれるという国民の期待が票につながっていたと思うのですが、結局コロナウィルスの対応に追われるだけで、またその対策にしても特に政党としての特徴を見せることはできなかったと思います。 
 
 最後にイタリアでも日本の台風のようなものが出現したというニュース。10月下旬にシチリアのカターニア市でハリケーンならぬメディケーンが災害をもたらしました。メディケーンとはメディテラーネオ(Mediterraneo=地中海)とハリケーンを合わせた新しい言葉。イタリアにいて10年以上になりますが、天気予報で初めて台風の目を見ました。気候が変化している表れでしょう。温暖な気候のはずの地中海で大雨が降り、洪水や地滑りが起こり、二人の犠牲者一人の行方不明者が出ました。カターニア市長は、生まれて初めてこんなひどい災害を見たと言っています。 


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