2021年11月08日12時16分掲載
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環境
環境NGOが石炭火力からの脱却を求める声明を発表
地球規模での環境問題に取り組む国際環境NGO FoE Japanは11月2日、日本政府に対して、石炭火力発電所の廃止や温室効果ガスの排出削減目標の強化などを求める声明〈COP26で岸田首相は日本の気候危機対応の遅さを露呈 日本政府は「解決の先送り」でなく、脱「化石燃料」に向けた真剣な取り組みを〉を発表した。
声明全文は以下を参照。(FoE HPから)
https://www.foejapan.org/climate/policy/211102.html
【声明】
COP26で岸田首相は日本の気候危機対応の遅さを露呈 日本政府は「解決の先送り」でなく、脱「化石燃料」に向けた真剣な取り組みを
英国・グラスゴーで開催されているCOP26において開かれたワールド・リーダーズ・サミットで、日本の岸田文雄総理大臣はスピーチを行い、新たな資金支援を約束した一方、水素・アンモニアを使った化石燃料の脱炭素化を強調しました。日本として、1.5℃を目指すことを明確には述べず、石炭火力からの脱却や気候変動目標の強化もなく、日本の対策の遅さと甘さが露呈した形となりました。
スピーチで岸田首相は、水素・アンモニアを解決策の一つとして掲げましたが、これらは気候変動の解決策にはなりません。現在流通している水素・アンモニアはほとんど化石燃料から作られており、かつ輸入に頼らざるをえません。石炭にアンモニアを混焼する計画が進められていますが、日本に必要なのは、石炭火力発電所を延命することではなく、2030年までに段階的に廃止する計画です。岸田首相はまた、「Asia Energy Transition Initiativeを通じ、化石火力をアンモニア・水素などのゼロエミッション火力に転換するため1億ドル規模の先導的な事業を展開する」としましたが、アジアの国々においても、必要なのは既存の火力発電の低炭素化ではなく、人権や地元のコミュニティに配慮した持続可能な再生可能エネルギー中心の社会への移行のための支援です。先進国からの無償の追加的な資金支援は全く不十分な水準にとどまっていますが、どんなに新たな資金支援が約束されたとしても、その資金支援が誤った対策や人権侵害につながるものになっては全く意味がなく、むしろ悪影響をもたらします。
気温の上昇を1.5℃に抑え、気候危機対策を進めていくためには、化石燃料に依存する社会から一刻も早く脱却し、持続可能なエネルギーシステムや経済・社会に方向転換をしていく必要があります。しかし、日本政府は今現在も海外での新規の石炭火力発電事業の支援を止めず、国内でも新規の石炭火力発電所の建設を続けています。
国際エネルギー機関(IEA)が5月に発表した1.5℃シナリオ「世界エネルギー見通し(World Energy Outlook, WEO)」では、今年から石炭火力発電所の新規建設を中止すること、新規の石油・ガス・炭鉱の開発認可や炭鉱拡張を停止、新規LNG(液化天然ガス)輸出事業の承認を停止すること、先進国では2035年までに、すべての国では2040年までに電力部門を完全に脱炭素化することなど、化石燃料の段階的な廃止に向けた重要な方向性が示されました。一方、日本は石炭火力発電をフェーズアウトする計画を持たないばかりか、海外での化石燃料事業に対して世界第2位の公的資金を提供しており、2018年から2020年までの平均で毎年109億ドルを拠出しています。
COP26が始まる直前の10月29日にも、国際協力銀行(JBIC)は、カナダのLNG輸出ターミナルへの融資を決定しました。先住民族ウェットスウェテンは、自分たちの土地・文化・生活を守ろうと事業の中止を求めてきました。しかし、事業者は先住民族ウェットスウェテンの「自由意思による、事前の、十分な情報に基づいた同意(FPIC)」を得ないまま、この事業および関連したパイプライン事業を進めており、JBICの環境ガイドラインにも明確に反しています。COP直前のJBICによる融資決定は全くもって世界の脱化石燃料への流れを無視し、現地の人権をも無視しています。
先進国である日本の歴史的責任に鑑みれば、そして科学の要請に従えば、日本政府に求められるのは水素やアンモニアなどの技術に頼った「解決の先送り」ではなく、2030年までに石炭火力を廃止する計画を定めること、またG20やG7でコミットしているように化石燃料への補助金を終了すること、そして国内での温室効果ガスの排出削減目標を強化し、実行していくことです。
以上
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