2021年11月29日21時46分掲載
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農と食
スリランカの慢性腎臓病とネオニコが関連の可能性 ネオニコ曝露が直接的にヒトの健康リスクに
平久美子医師(東京女子医大)らの研究グループは、スリランカの乾燥地帯で急増する慢性腎臓病にネオニコ系農薬との関連が示唆されたと、Scientific Reportsに発表した。尿から検出されるネオニコ系農薬濃度と、患者の特徴的な尿細管機能の異常の関連が示唆されたとしている。研究グループは、ネオニコ曝露が直接的にヒトの健康リスクとなる可能性が懸念されるという。(有機農業ニュースクリップ)
一般的な糖尿病や高血圧症による慢性腎臓病と異なり、腎臓の尿細管機能の低下が特徴で、井戸水を飲んでいる男性農民に多く、患者数が人口の10%を超える地区もあり社会問題化しているという。
検出されるネオニコの中でもアセタミプリドの代謝物の検出率が92%と異常に高かったという。アセタミプリドは日本曹達が開発し90年代半ばから上市されている。2019年の国内出荷は、原体換算で50トンほどだが、『農薬要覧2020』によれば、その10倍以上が輸出されている。
・アクト・ビヨンド・トラスト, 2021-11-29
「スリランカの乾燥地域では、尿中ネオニコチノイド濃度が高い人に腎臓の尿細管機能低下と精神神経学的愁訴が多い」 平久美子医師らの研究グループが発表
https://www.actbeyondtrust.org/press/6068/
・Scientific Reports, 2021-11-18
Urinary concentrations of neonicotinoid insecticides were related to renal tubular dysfunction and neuropsychological complaints in Dry-zone of Sri Lanka
https://www.nature.com/articles/s41598-021-01732-2
● 日本から輸出されるネオニコチノイド系農薬(2019年度)
[トン,KL]
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国内出荷 輸 出
農 薬 名 原体換算 原 体 製 剤 合 計
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アセタミプリド 49.7 466.0 322.6 788.6
クロチアニジン 73.5 50.5 106.2 156.7
ジノテフラン 158.1 265.8 277.6 543.4
イミダクロプリド 60.9
チアクロプリド 13.7
チアメトキサム 45.5
ニテンピラム 2.8
スルホキサフロル 10.3
トリフルメゾピリム 3.3
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合 計 342.2 782.3 706.4 1488.7
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『農薬要覧2020』(日本植物防疫協会)より作成
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