2021年12月22日15時59分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=202112221559353

中東

市民団体が学習会〈つくられる脅威、忍び寄る戦争〜国際ボランティアがアフガン、パレスチナ、北朝鮮の経験から考える〉を開催

憲法問題などに取り組む市民団体「許すな!憲法改悪・市民連絡会」(市民連絡会)は12月18日、学習会〈第157回市民憲法講座 つくられる脅威、忍び寄る戦争〜国際ボランティアがアフガン、パレスチナ、北朝鮮の経験から考える〉を都内で開催した。学習会では、日本国際ボランティアセンター(JVC)の今井高樹代表理事が講師を務め、緊迫するアフガニスタン、パレスチナ、北朝鮮情勢を例に挙げながら、戦争ではない「対話による外交」の必要性を訴えた。 
 
アフガンでは米軍撤退後、イスラム主義組織タリバンが首都カブールを制圧し、再び権力を掌握。タリバンはかつて、9.11を首謀したとされるオサマ・ビンラディンをかくまったとして、現在も米国をはじめとする世界各国から「国際テロ組織」に指定されている。こうしたことから、遠く離れた日本国内においても「タリバンは怖い」といったイメージが定着している。 
 
しかし今井氏は、「タリバンは農村を基盤とした組織で、そもそも国際的なテロを目的としているわけではない。彼らの目的は、外国勢力をアフガンから追い出すことだ」と話す。同氏は続けて、現地NGO関係者の話を紹介し、「今後も民主的制度、言論の自由などの課題はあるが、一方でタリバンが復権してから治安は良くなったし、心配なく村から町に行けるようになったと聞いている」などと述べ、タリバン統治のプラスの面についても触れた。アフガンでは依然として米国による経済制裁が続いており、現金不足・食糧難・人道危機など多くの課題が山積した状況にあることから、今井氏は「米国の経済制裁をとにかく外して、人々の生活を少しでも良くしていくために、タリバンを『悪』と決めつけた敵視政策は見直す必要がある」と訴えた。 
 
その後、今井氏は、ハマスが実効支配するパレスチナ自治区や金一家が独裁を続ける朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)におけるJVCのボランティア活動を紹介。パレスチナでは、現地女性たちと協力し、「子どもの栄養改善事業」を展開。厳しい生活・医療環境の改善を目指し、日々活動を行っている。北朝鮮では、日本と平壌の大学生による交流活動「日朝大学生交流」を2012年から毎年(2020年と21年は新型コロナの影響で中止)主催しており、両国の大学生らが、戦後賠償や北朝鮮のミサイル、日本人拉致問題などについて議論を交わしている。 
 
今井氏は最後に、「アフガンや北朝鮮のように、敵視外交によって相手(国)を変えることは難しい」とした上で、「相手(国)を理解し、こちら側が変わること。そして、メディア報道による先入観に左右されず、別の視点から考えること」の大切さを強調した。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。