2021年12月31日05時38分掲載  無料記事
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国際

セレブの少女買春を手助けしていた女性が陪審で有罪判決に  Ghislaine Maxwell氏の有罪判決とその波紋

  日本から一見遠い印象のある報道と見えるかもしれませんが、アメリカの著名な投資家で、セレブだったジェフリー・エプスタイン氏は少女買春・人身売買事件で有罪判決を受け、2年前、ニューヨーク州の拘置所で自殺しました。年末の今、米国で報道されているのはエプスタイン氏の腹心の女友達であったジスレーヌ・マックスウェル氏にも司法の手が及んだ、ということにあります。彼女がエプスタイン氏の少女買春の手引きをしていたという疑いで、ニューヨークタイムズによると、今回、陪審裁判で起訴された6件のうち、5件で有罪判決が下されました。 
https://www.nytimes.com/2021/12/29/nyregion/ghislaine-maxwell-guilty-verdict.html 
  ニューヨークタイムズはこの事件について、さらにノース・ウェスタン大学法学部のDeborah Tuerkheimer教授の意見を掲載しています。 
 
 「ジスレーヌ・マクスウェルが少女をリクルートして、エプスタインの性欲のために行っていた行為に有罪判決が下されたことは大きな出来事だ。Enablers(手助けする周囲の人々)も、犯罪の訴追から逃れることができない、ということを意味するからだ。その意味で、# MeToo 運動が始まって以来の、最も重要な瞬間となった。だが、真の進歩のためには、不都合な真実が未だ残されている。富と特権の世界においては、ほとんどのEnablersたちに司法の手が及ばないということだ」 
 
  Tuerkheimer教授は、さらに重要な指摘を行っています。こうしたセレブがらみの性的事件に関して、多くの場合、当該セレブの周囲には「公然の秘密」があったと指摘しています。つまり、(Enablersとは言えない)周囲の人々も、多かれ少なかれ、よくない行為が行われているのを知っていながら、口を閉ざし、干渉しなかったということにあります。 
 
  こうした指摘は日本も無縁とは言えないでしょう。カリスマ的なリーダーがセクハラを行っていた、というケースは日本の報道写真メディアでも起きていましたが、その編集部に出入りしていた人々には「公然の秘密」でもあったと私は耳にしたことがあります。そこに出入りしていた人々の中には、大手メディアで高い評価を受けているような人々も含まれていたのです。そうした人々が長い間、身近で起きている悲惨な問題には口を閉ざしてきたらしいのです。しかも、これは日本における氷山の一角に過ぎないでしょう。Tuerkheimer教授は、Enablersの中の最悪の人物を有罪にするよりももっと難しいことは、こうした見て見ぬふりをしてきた共犯的なカルチャーにメスを入れいることだと言っています。 


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