2022年01月09日02時56分掲載  無料記事
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欧州

事実上の独裁政権に立ち向かうハンガリーの野党共闘 今春の総選挙はオルバン政権を打倒する最大のチャンス

  ハンガリーのオルバン首相は与党連合のフィデス・キリスト教民主国民党(FIDESZ−KDNP)を率いて、欧州連合の民主的な枠組みを1つ、また1つと破壊し続けてきた挑発的な政治家である。ハンガリーの極右政権に習うかのようにチェコやポーランドでも右傾化が進んでいるとよく報道されている。 
 
  しかし、それでも総選挙はあり(なければ欧州連合に留まることはできないだろう)、今春4月か、5月あたりとされている。日本の外務省によると、ハンガリーは一院制で、議員数は199人、任期は4年である。このうち、3分の2超の133議席をフィデス・キリスト教民主国民党(与党連合)が握っている。こうした圧倒的な支持で、憲法や選挙制度を改正し、憲法裁判所の権限を縮小し、さらにコロナ禍における緊急事態条項で現在、独裁的な権力を握っている。 
 
  そうした中、今年の総選挙を目前に右派から左派まで野党6党が結束して、意外な候補者を立てて、オルバン首相が率いる与党連合を打倒しようとしている。これは英国のガーディアンの記事の情報だ。野党共闘の首相候補とは、Peter Marki-Zay氏(49)。野党6党のどの党にも属していない意外な候補者だ。ホードメゼーバーシャールヘイという地方都市の市長である。もともと、フィデス党の支持者だったが、オルバン首相の反民主的な逸脱を看過できないと考え今回、立候補を決め、野党6党をまとめたのだという。 
 
  Peter Marki-Zay氏はかつてはフィデス党に投票していたというだけあって、キリスト教の信仰が厚く、7児の父でもあり、自ら保守であると公言している。そんなPeter Marki-Zay氏を、左派を含む複数の野党が首相に迎える決断を下して選挙に臨む。野党共闘が実現した直後の昨秋の世論調査では、39:35で野党共闘陣営が首位に立った。ハンガリーは全199議席(これは日本の外務省の数字を参照)だが、そのうち106の小選挙区すべてで野党共闘が行われる。これはいかに野党がオルバン政権の打倒にゆるぎなく結束しているかがよくわかる数字である。 
https://www.theguardian.com/world/2022/jan/02/outsider-peter-marki-zay-from-the-right-backed-by-hungarys-left-to-beat-orban 
  日本の外務省の資料によると、圧倒的な支持を誇ってきた与党も、2019年の地方選では首都ブダペストで野党統一候補が勝利するなど、野党共闘に勝利の機運が生まれつつあった。しかし、それでも与党への支持は今も根強く、今春の総選挙も激しい接戦が予想される。気になることはPeter Marki-Zay候補がこれまで家の近所に監視カメラが設置され、監視下に置かれていたり、夫人が嫌がらせを受けているといったことである。 
 
 
※移民もLGBTも敵。中東欧諸国に通底するロジックとは(毎日) 
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20211216/pol/00m/010/018000c 
<国民投票は来年春に予定されている総選挙と同日に実施するとの観測が強まっており、反LGBT的な保守層を刺激し、そうした層の票の積み上げによって選挙戦も有利に運びたいという政権の思惑を指摘する声もある> 
 
※Hungary: anti-Orban alliance leads ruling party in 2022 election poll 
https://www.theguardian.com/world/2021/oct/28/hungary-anti-orban-alliance-leads-ruling-party-in-2022-election-poll 


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