2022年01月18日01時53分掲載
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市民活動
通常国会開会 市民連合が衆院選の総括と今後の方針を公表
第208回通常国会が17日に開会した。今国会は、岸田文雄首相が就任してから初めての通常国会で、今年7月に控える参院選でのリスク回避を狙って、与野党での対立が予想される法案については提出が見送られる公算が高いと報じられている。例えば、菅前政権時に廃案となった入管法改正案などがそれで、政府内では「与野党対立型の法案になるなら、参院選前に無理をしなくてもいい」との声も上がっているようだ。
政府与党がこのように夏の参院選に焦点を当てながら国会運営を進めようとする中で、特に気にしているのが野党共闘の動向であろう。昨年の10月31日投開票の衆院選では、9月8日に「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)と、立憲民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新選組の野党4党との間で政策合意が結ばれ、これをきっかけに衆院選での野党共闘が急速に進んだ。最終的に一本化された野党の候補者数は213にも上り、前回の57から大幅に数を増やしている。
衆院選の結果を数で見ると、自公が絶対安定多数の議席を確保し、日本維新の会が大幅に躍進する一方で、立憲民主党や日本共産党が議席を減らすなど、立憲野党にとっては厳しいものとなった。しかし、東京8区では自民党の大物議員を野党統一候補が打ち負かすというドラマがあり、野党統一候補が敗れた選挙区でも、得票数を伸ばす候補者が多く見られるなど、議席を減らしこそすれ、共闘したことで自公を追い詰め、肉薄する部分も確実に見られた。様々な課題はあろうが、立憲野党が今後の選挙戦で自公などの改憲勢力と対峙するにあたっては、引き続き野党共闘が欠かせないものとなりそうである。
国会開会に合わせて市民連合が、ホームページで公表した「2021衆院選挙の総括と今後の取り組み方針」でも、衆院選の結果について「野党共闘は戦略的に正しく、成果がある」と、基本的な見解を示している。その上で、「比例区を中心に立憲野党全体としての票が伸びず・・・野党共闘で政権交代という大きな流れをつくることができなかった」と総括し、その理由を「政権交代を具体的にイメージさせるような説得的なメッセージを提起できなかった」と説明している。実際に政権交代がイメージできたかというと、確かに具体的にイメージができるほどの状況にはなかったように感じるが、政権交代という言葉に自公勢力が敏感に反応し、必死に野党共闘勢力に攻撃を仕掛けてきたという事実も存在する。自公勢力には「もしかすると」と思わせることができていた一方で、有権者にまでその「もしかして」を到達させることができておらず、このような状況を次期参院選までにいかに変えていけるかが立憲野党の課題となるであろう。
次期参院選の主な焦点は、言わずもがな124の改選議席の内32を占める1人区での野党共闘である。市民連合は、今後の基本的な取り組み方針として参院選「1人区での候補者の一本化」を挙げており、これを中心に据えつつ複数区での可能な範囲での調整を進めていくという。立憲民主党の衆院選総括が未だ公表されていないこともあり、市民連合関係者は「立憲民主党の衆院選総括に応じて、今後の対応を考える必要が出てくる」と語る。泉健太体制となった立憲民主党が、参院選に向けて野党共闘にどのように取り組み、これに自公勢力がどのような反応を見せるかが注目される。
市民連合の「2021衆院選挙の総括と今後の取り組み方針」の全文は以下参照↓https://shiminrengo.com/archives/4761
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