2022年02月14日20時04分掲載
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アジア
キリンHDがミャンマー事業から撤退 国軍系企業との合弁解消が難航
キリンホールディングスは14日、国軍系企業との合弁によるミャンマーでのビール事業から撤退する方針を明らかにした。MYANMAR JAPONが同日行われた取締役会の決定として伝えた。人権と法の支配の悪化を理由に、このところミャンマーから撤退する外国企業が相次いでいる。
キリンHDは国軍系のミャンマー・ブルワリー(MB)と合弁し、「ミャンマービール」は同国で8割のシェアを誇る人気ナンバーワンのビールだった。
ところが、昨年2月1日の国軍クーデター直後の2月5日に、キリンHDは人権重視の立場から、MBとの提携解消を発表した。キリンHDはミャンマーから撤退はせず、非国軍系企業と提携して事業を継続する方針だったが、合弁解消交渉が難航した。このため、反発する市民の不買運動がつづき、同ビールの販売額は前年同期比八〜九割減となった。
MYANMAR JAPONによると、キリンHDは事業継続に向けてシンガポールで国際仲裁も提起していたが、合弁解消は困難と判断した。今後、6月末までに全ての持ち株を国軍と関係の無い第三者企業に売却する方針。
今回の決定に伴い、キリンHDは2021年12月期に新たに466億円の減損損失を計上したと発表した。ミャンマー事業での累計の減損損失は680億円となった。
1月21日には、ガス田運営事業などにかかわっていたエネルギー大手の仏トタルエナジーズと米シェブロンが、国軍クーデター後の人道状況の悪化を理由に撤退を表明した。同27日には、オーストラリアのウッドサイド・ペトロリアムも同国の事業から撤退すると発表した。世界シェア第4位の海運企業Evergreen Marineは、昨年10月にミャンマー国軍が所有する港湾の使用を停止すると発表した。
一方、軍評議会は2月4日、外国投資家にミャンマーへの復帰を呼びかけたと国営新聞ミャンマー・アリンが伝えた。
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