2022年02月27日22時30分掲載
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欧州
ウクライナ問題、世界はどう分析しているか
経済学者でJCA-NETの代表を務める小倉利丸さんが自身のブログでウクライナ問題に対する海外の声明や分析を紹介している。内容は、サイバー攻撃と人権、ロシアの政治状況とプーチン、ナショナリズムとウクライナのネオナチの動向、ロシア内での市民の反戦運動など、多岐にわたる。記事中のURLで全文は小倉さんのブログで読むことができる。いま起こっている事態を複眼的に見ることの大切さが読み取れる。(大野和興)
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小倉です。
私のブログにいくつか海外の声明や分析などを掲載しました。
以下は各論文の冒頭部分のみを紹介しています。全文はブログを参照ください。
紹介している文章は、私の関心を反映しているので、あまり一般的ではないかもしれません。「ウクライナのインフラと市民社会へのサイバー攻撃は人権侵害だ」は、現在国会で審議中の警察法改悪、とくにサイバー警察局新設問題を具体的な「サイバー攻撃」に直面している市民たちの観点から再検討する上で示唆的な声明です。
サイバー攻撃を口実にした検閲や監視を拒否し、警察や軍隊にコミュニケーションの安全保障を委ねるべきではないことを指摘しています。「ウクライナでネオナチの宣伝に協力する欧米メディア」などいくつかの論文では、ウクライナ軍や政権とネオナチの関係に焦点をあてた分析を紹介しています。ユーロマイダンの頃からずっとあるやっかいな問題です。
西側は対ロシアの軍事的な戦略としてネオナチの武装集団を利用してきました。(伝統的な第三世界での軍事戦略そのものですが)ウクライナのレジスタンス、とくに武装抵抗の勢力とナショナリズムの構図は、ロシアの帝国主義へのレジスタンス=左翼という図式にならないし、そもそも現在のウクライナ政権が西側寄=民主派とはとうていいえない。しかし、反戦運動はこうした権力の構図と次元が異なるところでも噴出していると思います。
ロシアの侵略にもウクライナのネオナチにも反対するスタンスが必要だと思います。イシチェンコは毎回鋭い分析をする研究者だと思っていて、「ロシアのウクライナ侵攻は、ロシアの政治秩序を不安定にしかねない」も示唆的な分析だと思います。
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ウクライナのインフラと市民社会へのサイバー攻撃は人権侵害だ
以下は、EUおよびウクライナのコミュニケーションの権利団体が共同で出した声明の日本語訳(JCA-NET)を転載しました。
2022年2月18日
更新日 2022年2月24日
私たちは、重要なサービスやインフラに影響を及ぼすサイバー攻撃が続く中、国中の人口密集地を標的としたロシアの大規模な軍事侵攻に耐えているウクライナの人々とともにあります。デジタルの権利侵害はオフラインの暴力を可能にし、エスカレートさせます。人々の安全と幸福に不可欠なデジタルシステムを標的とした計算された攻撃は、容認できるものではありません。 国際社会は、ウクライナの市民社会と最も危険にさらされている人々を支援するために、以下の提言を早急に取り入れる必要があります。
以下、ブログへ
https://www.alt-movements.org/no_more_capitalism/blog/2022/02/26/%e3%82%a6%e3%82%af%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%8a%e3%81%ae%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%95%e3%83%a9%e3%81%a8%e5%b8%82%e6%b0%91%e7%a4%be%e4%bc%9a%e3%81%b8%e3%81%ae%e3%82%b5%e3%82%a4%e3%83%90%e3%83%bc%e6%94%bb/
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ロシアのウクライナ侵攻は、ロシアの政治秩序を不安定にしかねない。以下はTruthoutの論文の翻訳です。
米英の当局者やメディアは、以前からロシアのウクライナ侵攻が「間近に迫っている」と警告している。このような侵攻の見通しがどうであれ、ロシアの政治体制の性格と、侵攻によってそれがどのように変化しうるかという重要な問題を提起しているのも事実である。
ヴォロディミル・イシチェンコ著
2022年2月21日
この論説は2022年2月14日にTruthout.orgに掲載されたもの
米英の当局者やメディアは、以前からロシアのウクライナ侵攻が「間近に迫っている」と警告してきた。そのような侵攻の見通しがどうであれ、ロシアの政治体制の性格と、侵攻によってそれがどのように変化しうるかという重要な問題を提起しているのも事実である。 多くの人が言っているように、仮にロシアがウクライナ軍を破り、ウクライナの大部分(特に南東部と中部)を占領できたと仮定してみよう。問題は、このウクライナの一部をどうするかである。問題は、ロシア軍に対するウクライナの大規模なゲリラ戦の可能性が低いことにあるのではない。
以下、ブログへ
https://www.alt-movements.org/no_more_capitalism/blog/2022/02/26/%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%81%AE%E3%82%A6%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A%E4%BE%B5%E6%94%BB%E3%81%AF%E3%80%81%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%81%AE%E6%94%BF%E6%B2%BB%E7%A7%A9%E5%BA%8F%E3%82%92/
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普通のロシア人はこの戦争を望んでいない
以下はJacobinの記事の翻訳です。
02.24.2022
イリヤ・マトヴェーエフ
イリヤ・ブドレイツキス
ウラジーミル・プーチンはウクライナへの侵攻を開始し、自軍がウクライナの抵抗を制圧できると考えているようである。しかし、この攻撃はプーチンの政権を大きく揺るがしかねない。ロシア人はすでに、戦争に対する熱意を著しく欠いているのだ。 ロシアが昨夜、ウクライナを攻撃した。最悪の事態が確認された。侵略の程度は完全に把握されていないが、ロシア軍が南東部(いわゆる「人民共和国」の国境沿い)だけでなく、国中のターゲットを攻撃したことはすでに明らかである。今朝、各都市のウクライナ人は爆発音で目を覚ました。
ウラジーミル・プーチンは、この作戦の軍事目的、すなわちウクライナ軍の完全降伏を明確にしている。政治的な計画はまだ不明だが、おそらくキエフに親ロシア政権を樹立することを意図している可能性が高い。ロシア指導部は、抵抗はすぐに打ち破られ、ほとんどの一般ウクライナ人は新政権を忠実に受け入れると想定している。ロシア自身への社会的影響は明らかに深刻である。
以下、ブログへ
https://www.alt-movements.org/no_more_capitalism/blog/2022/02/26/%e6%99%ae%e9%80%9a%e3%81%ae%e3%83%ad%e3%82%b7%e3%82%a2%e4%ba%ba%e3%81%af%e3%81%93%e3%81%ae%e6%88%a6%e4%ba%89%e3%82%92%e6%9c%9b%e3%82%93%e3%81%a7%e3%81%84%e3%81%aa%e3%81%84/
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ウクライナでネオナチの宣伝に協力する欧米メディア
以下はFairの記事の翻訳です。
FEBRUARY 23, 2022
JOHN MCEVOY
商業メディアが戦争を推進するとき、彼らの主要な武器の一つは、省略によるプロパガンダである。 最近のウクライナ危機の場合、西側ジャーナリストは、冷戦終結後のNATOの拡大や、2014年のマイダンクーデターに対する米国の支援に関する重要な文脈を省略している(FAIR.org、1/28/22)。
省略によるプロパガンダの3つ目の重要なケースは、ネオナチのウクライナ軍への統合に関するものだ(FAIR.org、3/7/14、1/28/22)。もし企業メディアが、ネオナチが入り込んだウクライナの治安機関に対する西側の支援や、これらの部隊がアメリカの外交政策の最前線の代理人として機能していることについてもっと批判的に報道すれば、戦争に対する国民の支持は減り、軍事予算はもっと疑問視されるかもしれない。 最近の報道が示すように、この問題を解決するひとつの方法は、ウクライナのネオナチという不都合な事柄にまったく触れないことである。
以下、ブログへ
https://www.alt-movements.org/no_more_capitalism/blog/2022/02/26/%e3%82%a6%e3%82%af%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%8a%e3%81%a7%e3%83%8d%e3%82%aa%e3%83%8a%e3%83%81%e3%81%ae%e5%ae%a3%e4%bc%9d%e3%81%ab%e5%8d%94%e5%8a%9b%e3%81%99%e3%82%8b%e6%ac%a7%e7%b1%b3%e3%83%a1%e3%83%87/
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プーチンのウクライナ侵攻に抗議するロシア人1000人以上逮捕
以下はCommon Dreamsの記事の翻訳です。
プーチンのウクライナ侵攻に抗議し、1000人以上のロシア人が逮捕された。「これは前例のない残虐行為であり、いかなる正当化もできない」とロシア全土の都市から約200人の関係者が発言した。
ジェシカ・コルベット 2022年2月24日ウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナへの侵攻を批判する人々は、木曜日に公開書簡を寄せ、ロシアの街頭に出て、現在進行中の空と地上からの攻撃に抗議し、1000人以上の逮捕者を出す結果になった。 ロシア国内外での抗議は、モスクワがロシアの攻撃で少なくとも「ウクライナの軍事インフラの地上施設74カ所」が破壊されたと主張したことから起こった。 36歳のコンピュータープログラマー、ドミトリーは、ロシアの首都でモスクワタイムズに語った。「何もいいことはありません。戦争ではなく、合意形成が必要なのです」。
以下、ブログへ
https://www.alt-movements.org/no_more_capitalism/blog/2022/02/26/%e3%83%97%e3%83%bc%e3%83%81%e3%83%b3%e3%81%ae%e3%82%a6%e3%82%af%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%8a%e4%be%b5%e6%94%bb%e3%81%ab%e6%8a%97%e8%ad%b0%e3%81%99%e3%82%8b%e3%83%ad%e3%82%b7%e3%82%a2%e4%ba%ba1000/
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ウクライナ駐在の英国司令官がネオナチとつながりのある国家警備隊と会い、「軍事協力を深める」ことに
以下はDeclasifiedの記事の翻訳です。
ウクライナ駐在の英国司令官がネオナチとつながりのある国家警備隊と会い、「軍事協力を深める」ことになった。ウクライナ国家警備隊によると、英国軍は昨年の会合で、1000人規模のネオナチ部隊を含む同軍の訓練を開始することに同意したという。英国国防省はこれに反論している。 MATT KENNARD 2022年2月15日 昨年キエフで行われた会議の写真-英国職員は非公開だと思っていた-がウクライナ国家警備隊(NGU)によって投稿された。 英国国防省は、NGUを訓練する計画はなく、英国人指揮官は誤った引用であったとDeclassifiedに語った。
しかし、英軍はNGUに関与しており、「(NGUの)戦闘活動の特殊性」を認識している。 2020年、別の極右ウクライナ人グループのメンバーらしき人物がサンドハーストで訓練を受ける 首都キエフでの会談の詳細と写真は、昨年、ウクライナ国家警備隊(NGU)のウェブサイトにウクライナ語で掲載された。
以下、ブログへ
https://www.alt-movements.org/no_more_capitalism/blog/2022/02/26/%e3%82%a6%e3%82%af%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%8a%e9%a7%90%e5%9c%a8%e3%81%ae%e8%8b%b1%e5%9b%bd%e5%8f%b8%e4%bb%a4%e5%ae%98%e3%81%8c%e3%83%8d%e3%82%aa%e3%83%8a%e3%83%81%e3%81%a8%e3%81%a4%e3%81%aa%e3%81%8c/
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