2022年05月06日17時06分掲載  無料記事
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欧州

フランスでついに左派の歴史的共闘が実現 社会党が服従しないフランスと選挙協力へ

  フランスでついに社会党(PS)がジャン=リュク・メランションが率いる服従しないフランス(LFI)と6月の国民議会選挙で野党共闘を行う決定をした。ルモンドによると、はオリビエ・フォール党首ら、社会党の執行部がLFIと妥協して作り上げた共闘方針に関して、社会党が党大会を開いて62%の賛成で批准したという。これにより、すでに共闘を決定しているフランス共産党(PC)や環境政党(EELV)なども加わり、左派が久々に大きな勢力としてまとまった。社会党が服従しないフランスとの提携に当たって、苦労していたのは定年退職の年齢を何歳に設定するか、という社会福祉構想と、欧州連合との関係をどうするかというあたりだったが、細かいことは筆者は不明だが、妥協点を見つけられたのだろう。 
https://www.lemonde.fr/election-presidentielle-2022/live/2022/05/06/elections-legislatives-2022-apres-eelv-et-le-pcf-le-ps-valide-l-alliance-avec-lfi-a-l-issue-de-longues-discussions-retrouvez-les-reactions-en-direct_6124973_6059010.html 
  筆者は日本の野党共闘のキーマンの一人、政治学者の中野晃一教授に野党共闘のイメージがどう生まれたのか?と尋ねたことがあった。その時、中野教授はフランスの社会党と共産党などの左派政党が大同団結したフランス版野党共闘が脳裏にあったと聞いたことがある。1981年のミッテランの勝利の時もそうだったし、シラク大統領時代の保革連立政権だった時代も、左派をまとめた社会党のジョスパンが選挙に勝って首相を担って内政を握り、週35時間労働法制を勝ち取ったことは歴史の1ページである。そう考えると、ルモンドが「歴史的な転換点」と書いているように、大きな進展と言えるだろう。 
 
  筆者はもしフランス人の多数が極右やネオリベラリズムを望むというのであれば、それはそれでしょうがないと思う。しかし、昨今のフランスの政治では近年の日本と同じで、左派政党がバラバラで小選挙区制の選挙では勝ち目がなく、棄権が増えていることが問題だと考えている。その意味で政党が党利党略に追われて、組めなくなってしまうと結局、有権者が不幸になる。フランスはようやくここに来て、英知と勇気のあるリーダーが出てきたと感じる。 
 
 
※Europe1のTV報道 
https://www.youtube.com/watch?v=f9WGkQXoOVk 
 服従しないフランスの若手女性議員(欧州議員)マノン・オブリが国民議会議員選挙で勝利して、保革のコアビタシオンを実現させ、メランションを首相へとアピールしている。 


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