2022年07月12日16時53分掲載  無料記事
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政治

安倍政治の闇が生んだ惨劇の背景に何があったか 

安倍殺害事件は、右翼カルト宗教と自民党右派を率いた安倍前首相との関係という思わぬ方向に動いている。これまでの日本保守政治のもっとも闇の部分であり、国際的広がりを持つ部分でもある。そして日本の主要メディアは、この殺害事件を容疑者の一方的な思い込みによるものということで収めようという意図が、報道の端々で感じられる。しかし、以前世界基督教統一神霊協会=統一教会(現宗教法人「世界平和統一家庭連合」)と呼ばれた韓国発祥の新宗教と日本保守政治のつながりは、そんなものではない。日本のジャーナリズムはこの闇に食いつくことができるか。本紙でも今後折に触れ、発信していく。(大野和興) 
 
 この殺害事件報道は、当初からおかしかった。容疑者が具体的に名前を出しているにもかかわらず、日本の新聞、テレビは「統一教会」の名前を出さず、「ある宗教団体」とだけ報じた。そして安倍晋三の「業績」を飾り立てることに集中していた。そのころ海外メディアは明確に「統一教会」の現在名「世界平和統一家庭連合」の名前を出していた。 
 この問題では、当初から報道統制が敷かれ、日本のメディアがそれに唯々諾々と従っていたのである。言葉を変えていうと、それだけこの問題は日本の保守政治にとってタブーだったということでもある。 
 
 それはどんな関係だったのか。今回はある資料を提示するにとどめる。全国霊感商法対策弁護士連絡会が21年9月17日に出した公開抗議文である。宛先は自民党議員安倍晋三。こんな書き出しで始まる。 
 
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1「私たち、全国霊感商法対策弁護士連絡会は、世界平和統一家庭連合(略称「家庭連合」、旧世界基督教統一神霊協会、以下「統一教会」といいます。)による霊感商法被害の救済と根絶のために、1987年5月、全国の弁護士約300名により結成された弁護士の連絡会です。 
 
2 昨今、国会議員や地方議員の方々が統一教会やそのフロント組織の集会・式典などに出席し祝辞を述べ、祝電を打つという行為が目立っています。これらの議員の方々の行為は、統一教会により、自分達の活動が社会的に承認されており、問題のない団体であるという「お墨付き」として利用されます。 
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 抗議文はつづけて、「家庭連合」なるものに正体に言及する。 
 
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3 家庭連合は、統一教会と名乗っていた頃から、信者の人権を抑圧し、霊感商法による金銭的搾取と家庭の破壊等の深刻な被害をもたらしてきた反社会的な団体であり、家庭連合に名前を変えてからもその体質は変わっていません。かつての霊感商法、合同結婚式に関する多くの批判的報道から時間が経過したことで統一教会の実態を知る国民が減っている中で、政治家によるお墨付きは、統一教会による反社会的な活動を容易にし、また、その反社会的活動の是正を困難にするものとして悪用されます。これは、政治家にとって、決して本意ではない筈です。 
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 こうしたことを述べたうえで、抗議文は「そんなことから当連絡会はかねてより政治家の皆様が統一教会(家庭連合)と連携することがどのような社会的弊害をもたらすか考えて慎重な対応をされるようお願いしてきました。」として、「旧統一教会やその正体を隠した各種イベントに参加したり、賛同メッセージを送らないで下さい。」「各種の公職選挙法で定める選挙に旧統一教会信者らの支援を受けないで下さい。結果として信者らの反社会的行動をあおることになります。」と要請、警告する。 
 
 続いて抗議文は安倍晋三を「安倍先生」と名指しして以下のように寝る。 
 
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本年9月12日、韓国の統一教会施設から全世界に配信された統一教会のフロント組織である天宙平和連合(UPF)主催の「神統一韓国のためのTHINK TANK2022希望前進大会」と称するWEB集会において、安倍晋三前内閣総理大臣の基調演説が発信される事態が生じました。これを統一教会が広く宣伝に使うことは必至です。上記要望書の要望を全く無視したものというほかなく、当連絡会としては深く失望し、今後の被害の拡大に強く憂慮しております。 
 安倍先生が、日本国内で多くの市民に深刻な被害をもたらし、家庭崩壊、人生破壊を生じさせてきた統一教会の現教祖である韓鶴子総裁(文鮮明前教祖の未亡人)を始めとしてUPFつまり統一教会の幹部・関係者に対し、「敬意を表します」と述べたことが、今後日本社会に深刻な悪影響をもたらすことを是非ご認識いただきたいと存じます。 
 安倍先生が今後も政治家として活動される上で、統一教会やそのフロント組織と連携し、このようなイベントに協力、賛助することは決して得策ではありません。是非とも今回のような行動を繰り返されることのないよう、安倍先生の名誉のためにも慎重にお考えいただきますよう強く申し入れます。また、事の重大性に鑑み、公開抗議文として送付するとともに抗議文を公開させていただく次第です。 
 あわせて、今回のUPFのWEB集会の基調演説のビデオメッセージを提供された経緯について明確なご説明をいただきますようお願いします。 
 
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 抗議文は最後に回答送付先を明記して終わる。安倍晋三はこの抗議を無視し、回答しなかった。統一教会に家庭を破壊された山上徹也容疑者は、この9月12日の安倍メッセージを見て殺害を決意し、実行する。こうして今回の惨劇が起こった。 
 
 
 
<資料> 
衆議院議員会館1号館 1212号室 
衆議院議員 安 倍 晋 三 先生  
山口県下関市上田中町2−16−11 
衆議院議員 安 倍 晋 三 先生  
     全国霊感商法対策弁護士連絡会 
     代表世話人 弁護士 平岩 敬一(横浜) 
     代表世話人  同 郷路 征記(札幌) 
     代表世話人  同 中村 周而(新潟) 
     代表世話人  同 河田 英正(岡山) 
     代表世話人  同 山口 広 (東京) 
     事務局長   同 川井 康雄(東京) 
 
 
1 私たち、全国霊感商法対策弁護士連絡会は、世界平和統一家庭連合(略称「家庭連合」、旧世界基督教統一神霊協会、以下「統一教会」といいます。)による霊感商法被害の救済と根絶のために、1987年5月、全国の弁護士約300名により結成された弁護士の連絡会です。 
 
2 昨今、国会議員や地方議員の方々が統一教会やそのフロント組織の集会・式典などに出席し祝辞を述べ、祝電を打つという行為が目立っています。これらの議員の方々の行為は、統一教会により、自分達の活動が社会的に承認されており、問題のない団体であるという「お墨付き」として利用されます。 
 
3 家庭連合は、統一教会と名乗っていた頃から、信者の人権を抑圧し、霊感商法による金銭的搾取と家庭の破壊等の深刻な被害をもたらしてきた反社会的な団体であり、家庭連合に名前を変えてからもその体質は変わっていません。かつての霊感商法、合同結婚式に関する多くの批判的報道から時間が経過したことで統一教会の実態を知る国民が減っている中で、政治家によるお墨付きは、統一教会 
による反社会的な活動を容易にし、また、その反社会的活動の是正を困難にするものとして悪用されます。これは、政治家にとって、決して本意ではない筈です。 
 
 そんなことから当連絡会はかねてより政治家の皆様が統一教会(家庭連合)と連携することがどのような社会的弊害をもたらすか考えて慎重な対応をされるようお願いしてきました。2019年9月27日には、全国会議員に向けた要望書を発出しているところです。要望の趣旨のみ、以下に改めて記します。 
*1.*本年(注:2019年)10月6日、愛知県国際展示場で開催される「2019孝情文化祝福フェスティバル中部大会」は旧統一教会が勢力を誇示し、政界への浸透策を推進するためのものです。この会に参加したり、賛同メッセージを送るなどしないで下さい。 
 
*2.*旧統一教会やその正体を隠した各種イベントに参加したり、賛同メッセージを送らないで下さい。 
 
*3.*各種の公職選挙法で定める選挙に旧統一教会信者らの支援を受けないで下さい。結果として信者らの反社会的行動をあおることになります。 
 
*4.*ところが、本年9月12日、韓国の統一教会施設から全世界に配信された統一教会のフロント組織である天宙平和連合(UPF)主催の「神統一韓国のためのTHINK TANK2022希望前進大会」と称するWEB集会において、安倍晋三前内閣総理大臣の基調演説が発信される事態が生じました。これを統一教会が広く宣伝に使うことは必至です。上記要望書の要望を全く無視したも 
のというほかなく、当連絡会としては深く失望し、今後の被害の拡大に強く憂慮しております。 
 安倍先生が、日本国内で多くの市民に深刻な被害をもたらし、家庭崩壊、人生破壊を生じさせてきた統一教会の現教祖である韓鶴子総裁(文鮮明前教祖の未亡人)を始めとしてUPFつまり統一教会の幹部・関係者に対し、「敬意を表します」と述べたことが、今後日本社会に深刻な悪影響をもたらすことを是非ご認識いただきたいと存じます。 
 
*5.*安倍先生が今後も政治家として活動される上で、統一教会やそのフロント組織と連携し、このようなイベントに協力、賛助することは決して得策ではありません。是非とも今回のような行動を繰り返されることのないよう、安倍先生の名誉のためにも慎重にお考えいただきますよう強く申し入れます。また、事の重大性に鑑み、公開抗議文として送付するとともに抗議文を公開させていただく次 
第です。 
 あわせて、今回のUPFのWEB集会の基調演説のビデオメッセージを提供された経緯について明確なご説明をいただきますようお願いします。 
 本書面に対する回答は、下記にお願い致します。 


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