2022年07月17日15時00分掲載  無料記事
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中東

「バイデン人権政権?イスラエルとサウジへ」【西サハラ最新情報】 平田伊都子

 イスラエル国籍を持つエマヌエル駐日米大使と手を携えて弔問書簡を内閣総理大臣に届けつつ、ユダヤ系アメリカ人のブリンケン国務長官は、バイデン米大統領の旅行打ち合わせをしました。 7月9日、バイデン人権大統領はワシントンポストに「人権問題で批判してきたサウジアラビアに頭を下げるのは原油増産のため」と、言い訳寄稿をしました。 バイデン人権大統領は、「ワシントンポスト・コラムニストだったカショギ記者の斬首は(2018年10月2日)サウジ皇太子が命じた」として、サウジの非人権的体制を非難してきました。 
 しかし、「金は人権に勝る」ようです。 
 
①イスラエルでホロコースト・ツアー、パレスチナへは?: 
 7月13日、イスラエルのテルアビブにバイデン米人権大統領が、ブリンケン米国務長官などを従え到着した。迎えるイスラエル高官の中に、ヘルツォグ・イスラエル大統領やラピッド首相に並んでネタニヤフ元首相もいた。超強行派のネタニヤフ元イスラエル首相はユダヤ教のトランプの娘と娘婿を巻き込み、無責任大統領トランプに米大使館をテルアビブからエルサレムへ移転させ、パレスチナ支援金を大幅に削除させたのは、2020年のことだ。 
 2021年、人権擁護を看板にトランプを負かしたバイデンがアメリカ大統領に就任した時、パレスチナと西サハラの人々はトランプの非人権的悪法をバイデンが覆してくれるものだと、大いに期待した、が、ぬか喜び、、1年半以上経ってやっと、バイデンもトランプも同じだと、気付かされた。もっと悪いことに、バイデンは、仇敵トランプがネタニヤフと交した契約を据え置きにし利用している事だ。トランプの素人外交手段も盗用している。 
 2020年9月1日、トランプ娘婿でユダヤ教徒のクシュナーがイスラエル訪問団を同行して初飛行でUAEに着陸し、UAEとイスラエルとの国交正常化を成功させたのを真似て、バイデンもサウジアラビアに初飛行した。サウジアラビアは既に、すべての民間航空機に対し領空通過を認めると発表していて、国交のないイスラエルの民間航空機も米大統領専用機も、サウジアラビアの空を利用できる。 
 一方、バイデン人権外交中東歴訪の一目標と宣伝した<イスラエルとサウジアラビアの国交正常化>は?、、まだまだのようだ。 
 
②イスラエル占領地ヨルダン川西岸へ: 
 7月14日、このところ足腰の弱りが顕著なバイデン人権大統領は無理をして、ユダヤ教のブリンケン米国務長官たちがアレンジした、ホロコースト・ユダヤ人虐殺ツアーのフルコースをこなした。 
 7月15日、バイデン人権大統領は東エルサレムの病院を訪問し、支援金をパレスチナに約束し、トランプとは違うとアピールした。 
 しかし、バイデン人権大統領はパレスチナ自治区を訪れず、パレスチナ自治政府モハンマド・アッバス大統領をイスラエル占領地にあるベツレヘムに呼びつけた。バイデン人権大統領が本気で<パレスチナとイスラエルの二国共存>を支持するのなら、ヨルダン川西岸やガザを訪れるはずだ。 
 バイデン人権大統領のやる気のなさを、「私は二国間共存を支持する。が、今すぐというわけじゃない」と、パレスチナ大統領との共同記者会見で自白している。 
 パレスチナ側は、1―イスラエルとの和平交渉再開、2-イスラエルの入植活動停止,3―ハマスや他のパレスチナ組織へのテロリスト呼称廃止、4-聖地エルサレムの国際化、などなどを要求した。が、無回答だった。 
 2022年5月11日、イスラエル軍の狙い撃ちで殺された、アメリカ・パレスチナ人でシリーン・アブアークレ・アルジャジーラ女性記者の遺族やシリーンに同行取材し負傷したアルジャジーラ・プロデユーサーなどが、バイデン人権大統領に面会を求めた。が、時間がないと断られた。イスラエルは、シリーンを銃撃したのはイスラエル兵だと認めている。そのうえで、ラム・コチャ―ル・イスラエル軍報道官は、「確かに彼女は銃を持っていなかった。が、奴らの武器はカメラだ」と、嘯いた。 
 「バイデンは、何も新しい希望をもたらしてくれなかった。イスラエル占領下でのパレスチナ人は、イスラエル兵に怯えながら生きていかなければならないのか?」と、アメリカのテレビ局にパレスチナ人たちは訴えた。 
 結局、パレスチナの正当な人権要求に目もくれず、バイデン人権政権ご一行はサウジアラビアに飛んだ。 
 
③サウジアラビアへ: 
 7月15日夕刻(現地時間)、バイデン米大統領はユダヤ系アメリカ人のアメリカ国務長官ブリンケンなどを伴って、サウジアラビアのジェッダに降り立った。ジェッダは紅海に面した港湾リゾート都市だ。 
 そして、バイデン米人権大統領は、カショギ記者首切り主犯と非難してきたムハンマド・サウジアラビア皇太子と拳挨拶をかわした。それから、対面対談に臨んだ。 
 対談後の記者会見で、バイデン人権大統領は斬首事件関与に関して、皇太子に問い質したとしながらも、「関与していないとの返事だった」と。短く答えた。さらに、「私がここに来たのは、サウジアラビア皇太子に会うためではない。<GCC首脳+3首脳>会談に参加するためだ」と、語った。3首脳とは、<アメリカ+イラク+エジプト>を指し、いずれも原油産出国で、今回のバイデン人権大統領中東歴訪の優先事項が<原油増産>にあったことを、自ら証言した。 
 しかし、アメリカが原油産出国の上位を占めているのは自他ともに許すことで、まず、アメリカがドンドン増産して世界にお手本を示すべきだ。 
 7月16日午前11時(現地時間)、宿泊先のジェッダ・リッツ・カールトンホテルで、バイデン大統領はイラク首相ムスタファ・アルカディミと二者会談を行なった。 
 同日午前11時40分(現地時間)、、バイデン大統領はエジプト大統領アブデル・ファッタ・アルシシと二者会談を行った。 
 同日、同じリッツ・カールトンホテルで、バイデン大統領はUAE(アラブ首長国連邦)シェイク・ムハンマド・ビンザイド・アルナヒヤーン大統領と二者会談を行った。 
 同日12時45分(現地時間)同じリッツ・カールトンホテルで、バイデン大統領はGCC(湾岸協力会議)歓迎レセプションに出席。 
 同日12時55分(現地時間)同じリッツ・カールトンホテルで、バイデン大統領はGCC(湾岸協力会議)首脳+3首脳の記念撮影に参加。 
 同日午後1時15分(現地時間)同じリッツ・カールトンホテルで、バイデン大統領はGCC(湾岸協力会議)に参加。 
 同日午後3時(現地時間)同じリッツ・カールトンホテルで、バイデン大統領はGCC(湾岸協力会議)のウォーキング・ランチに参加。 
 同日午後4時45分(現地時間)バイデン米人権大統領ご一行は、サウジアラビアのジェッダを出発して英国のミルデンホールに向った。大統領専用機は給油した後、午後10時25分、アンドルーズ米空軍基地へと出発した。 
 「中東歴訪、お疲れ様でした」と、バイデン人権大統領の労をねぎらいところだが、ちょっと待って!実際にバイデンが行ったのはイスラエルとサウジアラビアの二カ国だけ、7月16日の日程は一見詰まっているように見えるけど、同じホテルの中で部屋を移動するだけだった。因みに、リッツ・カールトンホテルのロイヤルスイート、一泊シングル基本料金は1,853,509円だ。 
中東歴訪の看板は外してください!人権大統領の看板も外してください。 
 
 ドイツは石炭火力発電を再興し、地球温暖化に拍車をかけるそうです。 
 フランスは広島長崎の願いを逆なでして、原発を増産するそうです。 
 <行き当たりばったり政策>が世界中に蔓延しています。 
 しかし、私たち日本の庶民は、{原爆許すまじ、原発許すまじ}と、ブレずにまいりましょう! 
 
 
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 「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。 
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、 
定価:本体1,800円+税、 
発行人:松田健二、 
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861 
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。 
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。 
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc 
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU 
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。 
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo 
「Last Colony in Africa]  英語版URL:  https://youtu.be/au5p6mxvheo 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2022年7月17日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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