2022年08月04日20時52分掲載
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入管
【入管問題】ウィシュマさん遺族の在留資格の変更認められず 国賠訴訟への影響必至
昨年3月にスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが名古屋入管で亡くなった事件について、ウィシュマさんの妹で三女のポールニマさんの在留資格変更が不許可とされたことが、3日に都内で行われた記者会見で報告された。ポールニマさんは、90日間の「短期滞在」の在留資格を更新して日本に滞在してきたが、今年5月に「更新は今回限り」と、入管側から通告された。この通告を受けて、6月20日に長期の滞在が期待できる「特定活動」の在留資格への変更を申し入れていたが、この申し入れが今回不許可とされた。
ポールニマさんの日本への在留期限は、8月25日までとされていることから、それまでに在留資格を更新することができなければ、出身国であるスリランカに帰国せざるを得なくなる。帰国後に再びビザを取得しようとすれば、一般的に半年ほどの期間がかかるとされる。そうなれば、係争中の国賠訴訟に影響することは必至だ。
この状況に、ポールニマさんは「特定活動への在留資格の変更が不許可になるとは思わなかった。ショックを受けている」と語った。また、ウィシュマさんの妹で二女のワヨミさんは、「姉の死の真相を究明するためにも、日本にはいないといけない」とした上で、「私たちには裁判に参加する権利があるはずで、それを踏まえて入管は(今後の対応を)考えてほしい」と述べた。
在留資格変更の申し立てが不許可とされたことについて、遺族代理人である駒井知会弁護士は「入管側から具体的な説明はほとんどなかった」とした上で、「国賠訴訟の訴えの相手方である入管がポールニマさんやワヨミさんが法廷に出られるかどうかを自由に決めている」とし、この現状を「非常に不公平で、不正義なことが行われている」と指摘した。
今後、ポールニマさんは短期滞在の在留資格更新を申し入れる意思を示してはいるものの、更新の許可が下りるか否かは不透明な状況にある。国賠訴訟の次の口頭弁論期日は9月14日。入管には、真相の解明を求める遺族の声に真摯に向き合う姿勢が求められる。
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